カサンドラになり、私はこうなった

カサンドラ症候群は、仕事やプライベートなど私の人生のさまざまなところで深刻な影響をもたらしました。人生が変わったといってもまったく過言ではありません。実際に私の人生は変わりました。

ただ一つだけ予想外だったのが、カサンドラになる前とカサンドラになった後とでは、カサンドラ後の方が人生の幸福度が上がったということです。

カサンドラはつらい経験でしたが、この出来事をきっかけに私は自然と人生をより自分に適正化する方向へかじ取りしました。もし選択を誤っていれば、カサンドラの苦しみからずっと抜け出せなかったり、もっと心を病んでつらい未来を歩んでいたりしたかもしれません。

選択さえ誤らなければ、カサンドラ症候群はある意味でQOL(Quality of Life=人生の質)を高めるチャンスあるいはきっかけになり得ます。どうか前向きな気持ちでお読みいただければ幸いです。

今回はまず、私がカサンドラになりどういった症状に悩んだか、そして暮らしにどういう悪影響があったかをお話しします。

最初にカサンドラ症候群を知らない人のために、カサンドラについてごく簡単に説明させてください。

カサンドラ症候群というのは正式な病名ではありません。「発達障害者と関わり心を病む症状」を統括する俗称です。症状は人それぞれですが、おそらく鬱症状の方がほとんどかと思います。過呼吸やパニック・不安障害、睡眠障害、貧血などを発症する人もいます。

私は抑うつ的になり、無気力、不安や焦燥感、疲労・倦怠感、動悸、吐き気、頭痛、軽度の睡眠障害などの症状がありました。

また鬱と併せてPTSD様の症状があり、当時の仕事が一切できなくなってしまいました。仕事に取り組もうとしても脳が拒絶しているようで、まったく意欲がわかなかったり吐き気を覚えたり──といった状態になりとても仕事どころではないのです。そのため、当時の仕事ができなくなってしまいました。今もできません。おそらくこれからもそうでしょう。これについてはむしろ「無理してやらない」と割り切っています。

上記同様フラッシュバックに悩まされ、ちょっとしたきっかけで当時の感覚が蘇り不安や焦燥感、動悸などに襲われるほか、感情のコントロールが難しくなる──などの症状にも悩みました。これはとくに子育てにおいて大きな障害でした。

発達の挙動と幼児の挙動は、とてもよく似ています。そのため息子の挙動(お茶をこぼしたり配線に足を引っかけて電子機器のプラグを抜いてしまったりといったよくあるミスでさえ)がトリガーとなり、当時の感覚がフラッシュバックするのです。そのせいで息子に必要以上にきつくあたってしまったことが何度もありました。

これについては、妻にとても助けられています。最初に私はこうした自分の症状を分析し、妻に話し、どう協力してほしいかを伝えました。彼女はその通り実践してくれ、時間をかけながら私の症状は少しずつよくなっていきました。カサンドラを自覚してから3年たった今、ようやく本来の自分を取り戻せそうなところにあります。

妻の負担は大きかったと思います。事実、せいぜい3~4年に一度けんかをすれば多い方──くらいの私達でしたが、この期間は摩擦が増えました。大喧嘩(とはいっても妻は私を露骨に責めるようなことはせず、どちらかというと私の言葉を忍耐で受け止めるスタンスでしたが……)をしたこともあります。それについてはまた別の機会にお話ししますね。

また当時の記憶を断片的にしか覚えていないというのも、症状の一つといえるかもしれません。最近知ったのですが、乖離性健忘という症状があるようです。これもストレスなどによるもので、PTSDの一種とのこと。

発達弟に苦しめられた期間の様子がところどころ頭からすっぽ抜けており、どうしても思い出せません。そのくせ嫌な出来事は覚えている。どうせ忘れるのなら嫌な出来事から先に消してくれればいいのに。

カサンドラ後は記憶力も低下しました。

さて、こうした症状の数々は仕事や私生活に当然大きな支障をきたします。妻の支えや工夫などもありますが、やはりカサンドラ克服にもっとも効いたのは「発達と離れる」ということと「適切な環境」、そして「時間がたった」という三点に尽きると思います。

鬱はすぐに治りません。少しずつ傷を癒していくしかないのです。しかしストレスの原因となる存在が常にそばにあったり、環境が適切でなかったりすると、いくら時間がたっても快方には向かわないでしょう。

私は本気でカサンドラを克服したいと思いました。そのため思い切って事業をやめて引っ越しをするなど、ライフスタイルそのものを変えたのです。かなり大胆な対策だったと思います。まさに人生の構造改革。それだけに効果はてきめんでした。

発達と離れるのすら難しい──という人もいるかもしれません。

さまざまな事情があるでしょう。

ですが、深刻なカサンドラを克服するのにこれは絶対条件です。

発達のいない日常を思い浮かべてみてください。

自分の時間を大切にできる暮らし。

時間、労力、お金、さまざまな財産をふいにされずに済む生活。

笑顔で過ごせる日々。

楽しい毎日。

充実した時間。

ストレスのない日常。

当たり前のこれらを手に入れるため、自分の人生を大胆にテコ入れする価値は十分にあると思います。

では、具体的にそれを実現するために私が何を行ったのか。次回「カサンドラになったらQOLが上がった話」にて詳しくお話しします。


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