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ちびたの本棚 読書記録「ポワロと私 デビッド・スーシェ自伝」デビッド・スーシェ、ジェフリー・ワンセル

四半世紀にわたりポワロを演じたデビッド・スーシェの自伝。本書ではポワロを演じることになった経緯から最後の撮影までが描かれている。ドラマ制作の裏話だけでなく、ひとりの俳優の人生が語られている。

やっぱり!と思ったのは、ドラマ撮影が始まった時のスーシェの年齢が若かったこと。クリスティの小説では、ベルギー警察を引退してイギリスに亡命したという設定のため、ポワロはおそらく60代と思われる。演じるスーシェは40代だ。おまけにかなりの体重差があるため、スーツの下にパットをたくさん入れて恰幅よく見せていたと書かれている。どうりで、立派なお腹の割には顔がほっそりツヤツヤしていたわけだ。

また、「チョコレートの箱」や「エンドハウスの怪事件」、「ABC殺人事件」、「もの言えぬ証人」など、スーシェ自身が気に入っている作品と、わたしが好きな作品が一致していたのが嬉しい。ドラマの出来映えはもちろん素晴らしいのだが、俳優たちが楽しんで演じているという雰囲気を、何となく感じたのかもしれない。

ドラマシリーズは、途中からほぼ倍の長さに変わっている。この時から映像の雰囲気や音楽がはっきりと変わっている。この時期に制作会社が変更になったと読んで納得した。
それまではどことなくファミリードラマ風でユーモアがあったが、長くなってからは映像や音楽の透明感や奥深さが増し、映画のような仕上がりになっている。

巻頭にあるドラマの一場面や俳優陣の写真もファンにとって楽しい。加えて巻末の「ポワロの特徴リスト」は嬉しいオマケだ。
これはポワロという人物を演じるためにスーシェが箇条書きにしたもので、うんうん、ポワロさんってこういう人だよね♪と頷きながら読んだ。



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