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梟伯爵の読書 3冊目

 やぁ、こんにちは、あるいはこんばんは諸君。
今日も私は気まぐれに市の図書館で本を読みふけっている。

 本日紹介する本は『500匹と暮らした文豪、大佛次郎と猫』だ。
監修は大佛次郎記念館。
さてまず、この文豪について軽く説明しておこう。
大佛次郎は国民的作家で1897年から1973年まで生きた。
作品は『鞍馬天狗』『パリ燃ゆ』『赤穂浪士』など耳にすれば「ああ、知ってる」という人はおそらくいるだろう。
そして、童話「スイッチョねこ」は今なお愛されるロングセラーだ。
この絵本は市の図書館で見かけたぞ。
そして、たいへんな愛猫家と知られ、一緒に住んだ数がなんと500匹超えると言われている。

 本の中身は大佛次郎と飼い猫たちの写真、そして記念館の写真や大佛次郎が執筆した猫と一緒に生活している時のエッセイが軽く載っていた。
読んでみると思わず「ぷっ」と笑顔になってしまうような面白さと、大佛次郎のユーモアさを感じる内容だった。
 軽くそのエッセイを紹介しよう。
その本には「定員は一度に十五匹まで」とタイトルが書いてあった。
 大佛次郎が妻や女中に申渡した。
「猫が十五匹以上になったら、俺はこの家を猫に譲って別居する」
言われた妻や女中たちはさすがに旦那様に出ていかれるのはたまらなかったのだろう。
捨て猫がくると女中が自転車で遠くへ捨てにいく。
大佛家の十五匹の猫は皿を十五並べて食事するようで大佛次郎は念のため数をかぞえる。
ところがかぞえてみたら十六匹いたことがあったので妻を呼び出しこう言います。
「おい、一匹多いぞ。俺は家を出るぞ」
「それはお客様です。御飯を食べたら帰ることになっています」
                    (1958年「猫の引越し」)から

 そういえば2月22日は確か「猫の日」と言われていたな。
実はこの本を読み終わったのが調度その日だった。
 さて、この本は今までの分厚い本とは違い少し薄い本だが読めば読むほど大佛次郎がどんな人物か、昭和時代の生活や猫たちの姿が目に浮かぶような内容だった。
 猫が好きな人には是非一度見て読んでもらいたい本だ。
どんな内容なのか気になったら是非『500匹と暮らした文豪、大佛次郎と猫』を手に取ってくれたまえ。

500匹と暮らした文豪、大佛次郎と猫
参考:本の表紙から
イラスト作画/道成寺 夜香

次の記事はこちらに書きました。

梟伯爵の読書 4冊目|道成寺 夜香 (note.com)

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