自分で自分の体に腹を立てる大晦日

 大晦日はめまいで倒れる。それが私のジンクスだ。
 
 毎年大晦日は家族が皆大掃除をしているため遊んでいる場合ではなく自分自身も部屋を片付けるよう意識を向けるのだが、ここ5年は連続して寒暖差や天気雨による気象病のダメージを受け、場合によっては立てなくなったまま床に這いつくばりスマホすら触れなくなる(なおこの現象をバベルガ・グラビドンと呼称している)。
 結局毎年深夜に入る前ぐらいに調子を持ち直す(か掃除を放棄して娯楽を楽しむ体力だけ気合で捻出していく)形で、毎年必ずリアルタイム視聴しているFateの特番だけは見逃さず、自分主催で年越しカウントダウン&あけおめ通話会をTwitter(現X)の相互フォロワーと集まって行うが恒例だ。
 

もう一人の私「なんだかんだ楽しんでんじゃねぇか!

私「うるさい! イベント事を逃すことよりつまらないことがないからいいだろ!


 書いてる途中で自分と自分が喧嘩を始めてしまったので、本筋に移ろう。


 今日は夜にぱっと目が覚めたかと思えば異様に元気で、大晦日とは思えない調子の良さから、とりあえず少し前にTV版を完走した熱を逃さないために『機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-』を見ながら朝食をしかけつつ、食べ終われば食器洗いと洗濯の家事に手を付けた。
 劇ナデは平成力の高さがチラついて、楽しかったし平成だったので良かった。

 その後も本当に元気で、大掃除をほっぽり出しながら、とにかく余った元気で文章を書いていた。思いの外スラスラ進み、心身のリハビリが大幅に進んだことを素直に喜べた。
 そして大掃除に関しても、家族の手伝いも当然するとして、自分の部屋に関しては年内ノルマに関しては9割終わっているので達成できなくてもあまり後悔がない状態ではあることから放置することにこれといった問題や心残りは存在しない。我無敵也。
 なにせ食道神経症の治療が進んだ途端整頓能力が格段に上昇したため、今日を逃したところでいずれ部屋は綺麗になるからだ。

 だが、10時ごろから急激に睡魔が襲ってきた。
 実は4時間しか寝れなかったため、睡眠不足を危惧し仮眠をとるよう緊急で判断した。
 これ自体は良かったのだが、起床後に昼食も摂ってもまだ眠い。
 正直に言って気象病による自律神経不全からくる眠たさのようにも思える。

 ならばと、また仮眠するのもそれはそれで気分を悪くする気がしたたため、思い切って散歩することにしたのだ。
 
 ……この散歩は倦怠感に襲われながらダルダルと歩く羽目になり大変だった。
 一応、立地上車の数も少ない場所を選んでおり、特に事故のリスクなどはないため、むしろ体を動かさないほうがよりこの後の調子に影響すると判断し続行した。
 それにしたって、その途中が苦労の連続だった。

 なにせ急に雨が降ってくるわ真正面から吹く風が激しくて進めないわで、

『外出てから30分ぐらい歩いた瞬間 終わったわ
 天気は良いのに 進めない
 雨雲 も来て お亡くなり
 定期定期的にオールバック』


 だったのだから。
 泣きっ面に蜂を体現したこの状況、脳内で構築した散歩コースがやけに長距離だったためもうちゃんと歩いて帰宅する以外に選択肢はない。
 逃げ場を失った私はただただコースを変えず、クソ真面目に、愚直に、家に向かって歩いた。
 正直雨は小雨レベルだ。気にならない。土砂降りの痛みの中を傘もささず歩くぐらい何度も経験してきた。だからこんなシチュエーションは慣れっこだ。

 歩き、歩き続け、ついには 我が家まであと300m



 ――その時、雨が止んだ。

 


 いや、止んだだけなら良かった。
 そう……

 めちゃくちゃ調子が良くなった。


 元より気象病で心身が安定していない時、私は文章を全く書けない。
 そして、この文章は帰宅して直行で今この文章を書き上げている。

 つまりはこの雨の前後の間、私は倦怠感と眠気に襲われていたのである。  
 なんて天気に正直な身体なんだ!
 自己分析を延々と行い続ている人間だからこそ、ここまでロジックが通った体調の変動には「そういうものではなくないか!?」と驚きを隠せない。
 もはや自分の体質に腹がたった。
 大晦日の呪いは緩和されようが逃れられない。
 そんな気分を味わった半日であった。
 
 まあ、そんな訳で、今年最後のnote更新になるが楽しんでいただけたなら幸いだ。
 来年もよろしく!


 なお、この散歩によって今まで探していたが手に入らなかった辛辛魚のカップ麺を購入でき、調子の悪さから購入を見送った焼き芋販売のキッチンカーは白髪の老けた男が走らせている割にメタルギアソリッド3に関連するロゴが張り巡らされた痛車になっていた。
 そもそも車のベースカラーやデカールが迷彩服チックという始末。
 誰かが売却した痛車の改造品なのだろうか……?
 とはいえ、今回は貴重なものを視界に治めることができたのだし、得るものは充分に得られたので良しとする。


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