短編小説Part1(映画編)

あの子と映画に来た。

暗く染まった会場からは一つの白い光が映像と共にスクリーンに映し出されている。ポップコーンの匂いが会場に充満し、映画館特有の雰囲気で僕たちを包んだ。


周りのほとんどがカップルばかり、言わずもがな恋愛映画を観に来ているからで当たり前であった。ここに来ている自分たちも側から見たらそこら辺のカップルに見えているのだろう。
そんな事を考えながらこの胸の高鳴りを隣にいる彼女に悟られない様に必死に落ち着かせようとし、黙々と映画を観る事にした。

近くに居るカップルが共有していたポップコーンがほとんどなくなっていて手を余らせている事、手元にあったコーラも氷が溶けて味が薄くなっている事から時間の経過を知らせる。

映画も終盤に差し掛かりクライマックスのシーンへと移り変わる。

会場のボルテージは最高潮に達していた。
その瞬間に柔らかい感触と共に右手を繋がれ視線を彼女に向けた。
すると微笑みながらに発した言葉が劇場の爆音な音に掻き消されてしまった。

彼女が意図して発したのか今ではわからない。

たが自分はあまり鈍感ではないその時今起きている状況から全てを察するに好意を向けられたのだと確信した。

映画のエンディングが流れ始めた。
エンディングの音を掻き消すほどに自分の心音はうるさくて高鳴っていた。
右手に繋がれた彼女の手に左手を添え、彼女に「僕も好きです」と伝えた。
彼女は何も喋らずに気恥ずかしいそうにしている。
今は多くの言葉は不用だと思い映画のエンディングが終わるのを待った。

エンディングが終わり会場を出て彼女の方に視線を置くと頬が赤くなっていた。
先に彼女から切り出された言葉は。

「ごめんなさい」の一言だった。

僕はその場で呆然と立ち尽くしてしまっていた。

ある程度の時間が経ち少しの自我を取り戻した後、無感情のまま帰宅した。



その後手を洗わず右手でめちゃくちゃ××××した。





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