![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/132750816/rectangle_large_type_2_0310ad9cfcc19a2b907f86ee754a12b4.png?width=1200)
30.桜
毎年 季節は巡って
この季節になり
桜が咲いて
私は 主人を思い出す。
やはり
みなさんも ”桜” に関する思い出を
おもちでしょうか?
きっと
忘れてほしくないから
主人は桜の思い出を残していったのかな
そんな気がする。
主人の病気のわかった年は
夫婦そろって入院した年だった。
私が 年甲斐もなくアキレス腱断裂になったのだ。
主人にも 娘にも
『なんでも一生懸命やりすぎるんだよ。
少し手をぬけよ。』
そんなこと あとから言われても
もう切れちゃったし・・・
と 言いたかったが
世話にならなきゃならないので
グッとこらえた。
その季節が ちょうど
桜の咲く時期だった。
私は ほとんど外出ができなくて
一人で悶々としていた。
毎朝、 散歩にいく主人に
『桜さいた?』
『今 どれくらい?』
『私が見に行けるころは 散っちゃうかな?』
『今年は桜 みられないのかな』
ある日 散歩から帰ってきた主人の手には
どこからとってきたのか 満開の桜の枝が握られていた。
『見たいって言ってたろ!』
涙が出てきた。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/133597739/picture_pc_88e2611a33f771072d2dd343f44e2059.png?width=1200)
その夜
満足に歩けない私を 車に乗せて
桜街道に 連れて行ってくれた。
主人は 亡くなる数日前に
『今年は桜 みられないのかな』
と 言っていたと聞いた。
同じこと言わないでよ・・・。
私と一緒に 桜 見に行こう!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?