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30.桜

毎年 季節は巡って 
この季節になり
桜が咲いて
私は 主人を思い出す。

やはり
みなさんも ”桜” に関する思い出を
おもちでしょうか?


きっと
忘れてほしくないから

主人は桜の思い出を残していったのかな
そんな気がする。

主人の病気のわかった年は
夫婦そろって入院した年
だった。
私が 年甲斐もなくアキレス腱断裂になったのだ。

主人にも 娘にも

『なんでも一生懸命やりすぎるんだよ。
少し手をぬけよ。』

そんなこと あとから言われても
もう切れちゃったし・・・

と 言いたかったが
世話にならなきゃならないので 
グッとこらえた。

その季節が ちょうど 
桜の咲く時期だった。
私は ほとんど外出ができなくて
一人で悶々としていた。

毎朝、 散歩にいく主人に

『桜さいた?』
『今 どれくらい?』
『私が見に行けるころは 散っちゃうかな?』

『今年は桜 みられないのかな』

 ある日 散歩から帰ってきた主人の手には
どこからとってきたのか 満開の桜の枝が握られていた。

『見たいって言ってたろ!』

涙が出てきた。


主人からの桜


その夜 
満足に歩けない私を 車に乗せて
桜街道に 連れて行ってくれた。


主人は 亡くなる数日前に

『今年は桜 みられないのかな』

と 言っていたと聞いた。


同じこと言わないでよ・・・。


私と一緒に 桜 見に行こう!


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