「いじめ」だなんて言わないで……。

まず最初に「いじめ、いじめ」と言うが、そもそも言い方がよくない。

「いじめ」なんていたずらの延長みたいな言い方をするからいけないのだ。

ハッキリと「暴行罪」や「侮辱罪」と言っていやればいい。

そうでもしないと今後も「いじめ」は悪ふざけの延長のように扱われ続けるだろう。

だからこそ教師も真剣に動かないし、警察も介入してこない。

いじめられている本人ですらそうだ。

いじめなんて自分で解決しなくてはならない。警察なんて大げさだ。

当時私もそう思っていた。

最悪、一年もしないうちにクラスが変わる。そうすればクラスのいじめっ子とは離れられる。

それまで我慢しよう、と。

我慢すれば問題は大きくならずに済む。

そう思うかもしれない。しかし問題はかえって大きくなるものだ。

中学高校といじめられて、そこから大学へと進学した。大学ではもういじめなんてものはない。

比較的平穏な生活を送っていた。

けれど異変は起こった。三年の秋ごろから不安で不安で仕方がなくなった。

最初は性格の問題だろうと思ってた。

何てことのないようなものを異常に怖がったり恐れたり。

考えても仕方ないから考えないようにしよう。そう思ったが、恐怖は消えなかった。

意を決して精神科に行ったのは、次の年の八月のことだった。

「強迫性障害」

医者からはそう言われた。

原因は様々あるらしいが、主なものはストレスだった。

当時ストレスらしいストレスを抱えていなかった私には、過去に受けたいじめくらいしか心当たりがなかった。

いじめの影響が時を超えてやってきたのだ。

どうすることもできなかった。

私をいじめた人間に責任を取らせたかったが、すでに全く違う場所と環境にいるため、それはできない。

それが悔しくてたまらなかった。

いじめが終わってもう10年以上経つが、いまだに私は精神科に通っている。

もし今私と同じようにいじめにあっている人がいたとしたら、どうか私のようにならないでほしい。

我慢すればするほど、後に苦しくなるのは他でもない自分のだ。

悔しいかもしれないが、もしいじめを受けている人がいたらすぐにそこから逃げてほしい。

「いじめ」をいじめと呼ぶ学校に頼ったところで、あまり解決は望めない。

それは警察も同様だろう。

「いじめ」なんだから学校内で解決してくれ。そういわれるのがお定まりだろう。

だから逃げてほしい。

逃げて環境を変えてほしい。

どうかあの時の私ができなかったことを行い、私のようにはならないでほしい。