安部公房ー安部公房論から読み解く、安部公房、その生涯ー
安部公房ー安部公房論から読み解く、安部公房、その生涯ー
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安部公房文学を思考する時、まず敷衍しなければならないのは、安部公房が幼少年期を満州で過ごした、ということである。この原風景が安部公房に影響を与えたことは間違いないし、安部公房論を読み解くなかで、度々、満州の影が落ちているのを発見するのだ。日本文学史として考えれば、異端とも理解出来るし、それは台湾の埴谷雄高とて同じことだ。しかし、両者ともに、日本文学史のなかで、非常に重要な役割を担って居る。外から見た日本、という客