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2023年の私のお気に入り

 1年間を振り返ると、たくさんの作家さんとその作品たちとの出会いがありました。お気に入りの作家さんを追いかけることもありますが、読んだことのない作品との出合いもまた、読書の醍醐味だと思うのです。
 海外、国内問わずいろいろな方の作品との出合いを、これからも続けていきたいですし、そう考えるだけで心が弾みます。
 特に2023年(昨年)は、新たな出合いが多くあったと感じています。今日は、その中でも青山美智子さんの作品について語りたいと思います。
 最後までお読みいただき、読んだ皆さんの記憶や心に、思いや言葉がメッセージとして残ってくれることを願っています。


赤と青とエスキース

 本屋大賞第2位に選出された作品です。タイトルに目を向けた時に、まず私が思ったのは「エスキースって何だろう。」でした。

エスキースはフランス語(esquisse)で、スケッチや下絵のことを指していいます。本画(本番の絵)を描く前段階で、絵のイメージを描いたものです。本画の前段階で行うため、本画よりも小さく、本画をイメージできる大きさの画面で制作します。

エスキースとは何か | デッサンの描き方と基礎技法 (art-map.net)

 上のように調べてみると、絵を題材とした作品であることがわかり、なお一層、興味を持ちました。絵画を通してどんな世界を味わえるのだろうとページをめくっていくと、その手が止まることがなく、いわゆる一気読みをして終わったのを今でも覚えています。

 作者の前作が好きで購入した。物語を包み込むかのような「赤」と「青」そのコントラストから色々な想像が広がっていく展開がとても気に入った。愛をテーマにした単なる青春小説かと読み始めは思ったが、この「愛」は非常に普遍的であり、情熱的な赤でもあり、凪いだ海のような青でもあり、様々な年代の人に読んでもらいたいと思った。

『赤と青とエスキース』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み - 読書メーター (bookmeter.com)

 作者が、しっかりとしたこだわりをもって題名「赤と青とエスキース」とつけたことがわかったのは、読み終わってからでした。「青と赤とエスキース」でもなければ「赤と青のエスキース」でもない。
 そんな言葉の使い方を私も、したいと心から思いました。

月の立つ林で

  装丁に目を惹かれ、手に取った1冊です。猫が一匹、窓辺で、林の中から浮かぶ三日月を覗き込むように佇んでいる。そしてその陰は下に、少しだけ長く伸び、表題の文字と重なっている。いつ猫はこちらを振り向いてくれるのか、そんなシチュエーションがもしかしたら、この物語の中にもあるのかもしれない、と想像力を掻き立てられた1冊でした。

 青山さんの作品はいつも、優しく軽やかな音楽のような爽やかさがあると思う。心の琴線に触れるその優しさにいつも癒やされている。夢は叶っていなかったとしてもそれだけで輝きがあるという言葉を読んで、ふと今より少し若い自分を思い出した。夢に向かって進み続けたけれど、何年も上手く行かず、諦めようと思った時のあの気持ち。結局、諦めることなく進み続けての今がある。あの時諦めなくてよかったねと胸を張ってあの頃の私に伝えたくなった。今夜の月はどんな形だろう。満ちてても欠けてても地球の相棒には違いないから安心して見たいと思う。

『月の立つ林で (一般書)』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み - 読書メーター (bookmeter.com)

 あの装丁に表された猫にとって、月が同じように相棒だったのかもしれない。紙の本の良いところは、装丁を含めてその人の作品を味わえるということだと思います。もちろん電子書籍版でも画面を通して、表紙絵や帯の色合いや風合いを感じることはできます。でも五感を使って読書を楽しむなら、やはり紙に勝るものはないと信じています。

月曜日の抹茶カフェ

 抹茶は好きです。カフェに行くことも好きだし、タイトル通り月曜日から、幸せになれる場所を見つけられたら、それだけでその1週間、いや1か月、1年、一生私の思い出となることでしょう。そんな思いを胸に抱きながら、読み進めた1冊です。

 木曜日にはココアを読まずに本作を読んだ。 人と人とのつながりの大切さがじんわり心に広がり元気がもらえる1冊だった。

『月曜日の抹茶カフェ』|本のあらすじ・感想・レビュー - 読書メーター (bookmeter.com)

そして2024年、私は今

 最新作の『リカバリー・カバヒコ』を手に、朝のブレイクタイムを楽しんでいます。特に今日は、出勤まであと1時間弱の余裕があったことも手伝い、かなり読み進めることができました。
 主人公の1人に高校生が出てきます。ぜひ、同年代のみなさんにも読んでもらいたい1冊だなと感じています。私がもし、高校生の時にこれを読んでいたら・・・なんてことも頭をよぎりました。

  読み終わりましたら、読書メーターおよびnoteで感想文を投稿したいと思います。でも、読み終わるのももったいないくらい「いいお話だなあ。」と現時点で感じています。

 心の琴線に触れる作品ほど、「もったいない。」と思うものですよね。本日も最後まで、お読みいただきありがとうございました。たくさんのフォローと「スキ」が励みになっています。

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