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目的や目標で利用されるゴールやオブジェクティブという言葉の文脈によって異なる意味合い

一般的に達成すべき成果等の話をする際に、目的と目標という言葉を使うことが多いと思います。しかし、最近では、OKRs(Objectives and Key Results / 目標と鍵となる成果)というように、目的や目標を表現する際に、オブジェクティブ(Objective)やゴール(Goal)というような言葉が使われることがあります。このオブジェクティブ(Objective)やゴール(Goal)はセットで使われる言葉によって意味合いが異なることがあるため、そのことについて書いてみたいと思います。

目的と目標の違いとは?

まずは、日本語における目的と目標の違いですが、目的を辞書で調べると、「実現しようとしてめざす事柄。行動のねらい。」と表現され、目標を辞書で調べると、「行動を進めるにあたって、実現・達成をめざす水準。」と表現されています。よく言われる違いとして、目的は、より長期的であり、到達するまでの方法が不明瞭であると言われています。これに対して、目標は、目的に比べると短期的であり、到達する方法が明確です。このため、目的はどちらかというと、ビジョンのように、「なぜ」行うのかということに主眼が置かれ、目標は、目的に近づくために「なに」を行うかに主眼が置かれていると考えられます。

バットマンで考える目的と目標の違い

さて、例として、正義の味方バットマンで目的と目標の違いを考えてみたいと思います。簡単に言うと、バットマンの目的は、「ゴッサムシティの平和のため」になります。ビジョンとしては、「平和なゴッサムシティ」になると思いますが、常に犯罪が発生するため、犯罪のないゴッサムシティは、実現できません。しかし、いつかは訪れると願っている平和なゴッサムシティの実現にむけ、バットマンは、日々活躍しています。このように、いつ平和なゴッサムシティが訪れるかわからないという意味では長期的に目指している場所であり、どのくらいの悪党を倒せば平和になるかもわかりませんので、到達方法が不明瞭なため、目的と表現できます。逆に、例えば、ジョーカーが現れて悪さをしているということになれば、「ジョーカーを倒す」が目標になります。目の前の敵ですので、比較的短期的に達成できると想定される課題です。さらに、ジョーカーの居場所を突き止め、倒すという、達成のための道筋がハッキリしているため、目標と表現できます。

目的と目標の違い

英語での目的と目標

次に、英語の目的と目標を調べてみたいと思いますが、目的を和英辞典で調べてみると、「aim; purpose; object」と訳されており、目標を和英辞典で調べてみると、「goal; sign; mark; target; objective」と訳されています。この訳にあるように、パーパス(Purpose)と対でゴール(Goal)が利用される場合は、それぞれ、目的と目標の関係になります。しかし、英語の文面の中には、ゴール(Goal)とオブジェクティブ(Objective)が対で利用される場合があります。その場合の意味合いはどのようになるのでしょうか?和英辞典では、両方とも目標と訳されてしまい違いがなくなってしまいます。この場合、実は、ゴール(Goal)が目的の意味合いを持ち、オブジェクティブ(Objective)が目標の意味合いを持つケースが多いです。

上記によって、ゴール(Goal)は、一緒に使われる言葉によって、目的のような意味合いになったり、目標のような意味合いになったりします。この結果、文脈によっては、ゴール(Goal)は不明瞭であっても良いと議論が成り立ち、同時に、ゴールはSMARTでなければいけないという議論も成り立ってしまい、結局、ゴールは数値的にハッキリした方が良いのかどうかが、ゴールという言葉からだけでは、わからなくなってしまうということが発生します。

オブジェクティブ(Objective)もゴール(Goal)と一緒に利用された場合は、目標という意味合いが強いですが、OKRでは、オブジェクティブ(Objective)とキーリゾルト(Key Result)を対として利用し、この場合のオブジェクティブ(Objective)は、今度は目的の意味合いが強く、キーリゾルト(Key Result)が目標的な意味合いを持ちます。

英語において、オブジェクティブ(Objective)やゴール(Goal)は、目標設定や目標管理という話の中で、良く使われる言葉ですが、どのような意味合いで使われているかについては、同じ言葉であっても、文脈ないしは、一緒に使われている言葉から判断しなくてはなりません。

組み合わせによって異なる意味合い

目標達成や目標設定において、色々なフレームワークや考え方が生まれ、中にはOKRのように、アメリカから持ち込まれているものもあります。そういったフレームワークで利用されている言葉は、必ずしも同じ言葉だからといって、他の場所でも同じように利用されているとは限らないようです。日本語で目的と目標を利用している限りは、その関係性が異なることが少ないと思いますが、海外のフレームワークを試してみようといったような状況になり、そのフレームワーク内に目的や目標と同等な英語の言葉が使われていた場合、それは、目的と目標のどちらの意味合いが強いのだろうかと考えた上で、そのフレームワークを利用した方が、間違ったフレームワークの利用にならずに済むと思います。


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