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KPT(A)法(リフレクション/内省フレームワークの紹介)

KPT(A)法は、Keep Problem Try (Action)とも呼ばれ、日本で広く利用されているリフレクションのフレームワークです。コンピューターの開発手法で有名なアジャイル開発手法を提唱した、アメリカのコンピューターサイエンティストであるアリスター・コーバーン氏によって生み出されたと言われています。この内容は、アリスター・コーバーン氏のプレゼンテーションの一つであるCrystal Approach to Developing Softwareで見ることができます。アジャイル開発の世界では、振り返りのことをレトロスペクティブと呼んだりします。

KPT(A)法とは?

アジャイル開発では、常に製品を向上させるために一機能毎に開発しては、製品をアップデートするといったサイクルが回されます。このKPT(A)法は、そんなサイクルの中に、振り返りを実施するステップを踏むことの重要性を示唆したフレームワークだと思います。また、このフレームワークは、自身の振り返りというよりも、開発プロジェクトにおいて、メンバー間の現状把握および次のステップの共有のためにデザインされているように感じ、メンバー間において同じ理解をするために、作成するようなフレームワークだと感じます。利用方法としては、うまくいっており、続けるべきものを「続けること(Keep)」に記載し、現状認識している問題を「問題(Problem)」に記載します。そして、次に試すことを「試すこと(Try)」に記載します。試すことは、なにも、問題の解決方法だけでなく、新しく試すようなことも含まれます。このフレームワークを繰り返し、使えるようにするためには、試すことが、実施可能であるものである必要があります。そのため、KPTとしてだけでなく、Tryの部分はActionのことであるという意味も含め、KPT(A)と書かれたりします。

現状を把握し、次のアクションを決めることに主眼が置かれているため、中には、問題として記載をしていても、影響度が低いために、試すことに記載しないという事項もあると思います。そういった意味では、優先順位についてどのように考えているかといった意思表示にも使えるフレームワークとなると考えます。

KPT(A)法の簡単な実践例

簡単な実践例として、法人営業の現場にて考えてみたいと思います。1回目のサイクルを回す際は、現状の分析から入りますので、現状において、うまくいっていることを「続けること」に、問題がある部分については「問題」に、そして、次に試すことを「試すこと」に記載します。

続けること(Keep)

実施している行動の中で、うまく行っていて、続けたいと思うことを記載します。

  • 毎週最低10件の見込のお客様にフォローの連絡をする

  • 毎月、新機能のご案内をパートナー企業に行う

問題(Problem)

現在、認識している問題点を列挙します。

  • 想定した受注時期より遅れて受注される

  • お問い合わせ数が増えてきており、遅れて対応することが多くなっている

試すこと(Try)

続けることと、問題点を受けて、今後、試すことを考えます。

  • お客様毎に、希望納期に関して、必ずミーティング内で聞くようにする

  • 毎週金曜日に、パートナー企業に対して、問題が発生していないかどうか確認する

KPT(A)法は、現状の把握および優先順位の決定が主な用途になると感じるため、経験学習をベースとしたリフレクションに比べると、どんな内省の元、続けるのか、内省の結果、なぜ問題なのか、どんな内省を受けて、試すかといった、内省の思考の部分に関しては、意識して書かない限りは、決定した結果のみの記載になることが考えられます。チームで利用する場合は、チーム内で議論する際に内省もされると想定されるので、内省は実施されていると考えられますが、特別に記載するセクションがある訳ではないので、気をつける必要があると思います。


現在、GROWモデルといったコーチングおよび内省や経験学習のフレームワークを活用した、目標およびアクションマネージメントシステムを開発しております。製品に関するご意見を募集しておりますので、何かございましたら、以下よりお気軽にご意見お寄せください。


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