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UBER台湾 + Combi のコンビから振り返る交通安全の"当たり前"

先日出張で訪れた台湾でライドシェア(※)のUberを利用しました。

Uberのサービスは、Uber社が料金や配車を中央集権的にコントロールしているので、厳密にいえば互助的な「シェアリング」ではないのですが、ここでは一般に言われているように「ライドシェア」と表記しています。

日本では、いわゆる「白タク」規制によってUberは、「Uber X」と呼ばれるドライバーと乗客のマッチングという本来のサービスを提供出来ず、「Uber Black」と呼ばれるハイヤーサービスと「Uber Taxi」と呼ばれるタクシー配車サービスのみを国内13都市(Uberウェブサイトによる)提供しています。

一方で、台湾では、「Uber X」が利用できます。但し、建前として「ドライバー付きのレンタカー」という位置づけです。その為、Uberアプリで乗車を予約すると、「Rental Slip(レンタル票)」と題したメールが都度配信されます。

台湾でも日本と同様の議論(白タク問題・既存タクシー業界との競合など)があり、2017年2月~4月までサービス中断の時期がありましたが、レンタカー業界との協業という形で再開となった経緯があります。

さて、今回乗車したUberで目に入ったこのサイン。

車内から撮影したので文字が反転していますが、「UBER | Combi」と表記されています。Combiは日本の3大ベビー用品メーカーの一角であるコンビ株式会社(東証一部上場)。

日本語での報道は見当たらなかったので、中国語の報道からの引用ですが、2018年7月9日にUber TaiwanはCombiと連携し、「寶寶優步(Baby Uber)」をローンチしていました。

台湾でも進む少子高齢化社会に対応する、Uber台湾の「子供を大切にする」施策。既存のタクシー業界との差別化としてインパクトがあります。

Business Next記事写真より

専用シートを搭載したUberを呼ぶ際は、下画像(私のUberアプリからの転載なので日本語表記になっています)のように、「チャイルドシート」搭載のものを選択することができます。

考えてみれば、自家用車やレンタカーを運転する時は子供を専用シートに乗せるのに、タクシーやUberに乗る時は専用シートに乗せないというのもおかしな話でした。乗車距離の長短によらず、専用シートに乗せないことによるリスクが非常に大きいことは明白。

例えば、アメリカのカリフォルニア州では、子供を車(自家用車であろうとタクシー・Uberであろうと)に乗せる場合は専用シートが(厳密に)義務付けられています。

カリフォルニア州 Dept. of Motor Vehiclesの規定

もちろん、全ての車に専用シートを備え付けるのはコストも手間もかかりますし、全車両に専用シートを常備しておくとスペース的にも問題がありますが、本来であれば安全には替えられません。その観点では、Uberをはじめとした配車アプリの登場によって、アプリ上で事前に専用シートを備える車を選択しオーダーできるようになったことには非常に大きな意味がありました。

さて、翻って日本。
日本でも子供が乗車する際には専用シートを用いることが道路交通法で義務付けられていますが、その義務が免除されるケースとして「一般旅客自動車運送事業(タクシーなど)の用に供される自動車の運転者が当該事業に係る旅客である幼児を乗車させるとき」が挙げられています。

道路交通法

前述の通り、安全面では「一般旅客自動車運送事業」であろうと専用シートを備えるべきでしょう。特に、都市圏では高い駐車場料金や公共交通機関の発達から、自家用車を保有しない家庭も増えており、その分、より柔軟な利用が可能なタクシーなどの利用シーンが増えます。

一部で専用サービスも提供されていますが、事前予約や金額の観点で敷居が高そうです。

Uberの日本進出以降、タクシー各社は配車アプリを導入しつつありますが、現在のところ、各社(Uber Japan含め)ともに専用シートを搭載した車種を選択することは出来ないようです。

本来、配車アプリというツールを使うことで、その特性から、専用シートを備える車両と子供連れの利用者のマッチングはより容易になるはず。

また、近年、JPN Taxiなど新型車両が導入されており、車内環境・スペースも従来に比べて広く柔軟になっている印象があるので、せめて省スペースのジュニアシートくらいはどこかに収納できるような車両が出てくるといいですね。


筆者所属:㈱クロスデジタルCEO・㈱ブロックチェーンハブCMO