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from シリコンバレー to 山形

㈱クロスデジタル CEO・㈱ブロックチェーンハブCommunity Manager & Industry Analyst の増田 剛です。

私が事業開発をお手伝いしているシリコンバレーの Yume Cloud Inc.(Sunnyvale, CA)が山形県米沢市に日本法人・株式会社Yume Cloud Japanを設立しました。

Yume Cloudのプロダクト『GLOW』

プレスリリース
シリコンバレーのIoTスタートアップ、山形大学の誘致により日本拠点を設立
日経新聞:山形大、米スタートアップを米沢に誘致 IoTで共同研究
山形新聞:海外ベンチャー初誘致、共同研究に着手 山形大、有機材料センター
河北新報:米ベンチャー 米沢進出 感情伝達ツールを山形大と共同研究

シリコンバレーのスタートアップが、なぜ山形なのか?ということで、今回のニュースをきっかけに、イノベーション界隈における山形について取り上げてみたいと思います。

出所:Wikipedia

山形といえば、サクランボ・洋梨のような農作物や、銀山温泉・花笠まつり・蔵王の樹氷などの観光資源が一般的には知られていますが、実は先端技術の研究が盛んなエリアでもあります。

象徴的なのは、鶴岡市にある慶應義塾大学先端生命科学研究所でしょうか。その名の通り、バイオ系。Business Insider記事によれば、当該研究所から6社のスタートアップが生まれたと。
1. ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社(鬱病診断)
2. スパイバー株式会社(人口合成蜘蛛糸繊維)
3. 株式会社サリバテック(唾液で癌検査)
4. 株式会社メタジェン(腸内細菌検査)
5. 株式会社メトセラ(心不全再生治療)
6. 株式会社モルキュア(抗体医薬)

勿論、山形大学も、少しデータは古いですが、「平成27年度 大学等における産学連携等実施状況について」(文科省 2017年1月13日発表)では、民間企業との共同研究費受入額の平成22年度対比伸び率が2年連続(当時)全国1位とされています。

山形大学は有機材料系に特徴があるようです。1993年に世界で初めて白色有機EL発光に成功したのは山形大学工学部の城戸淳二教授で、以来、世界的な研究拠点といて認知されているとのこと。工学部 伊藤浩志副学部長(当時)は「もともと山大工学部の強みであった繊維分野、染色技術の研究から有機材料研究の基礎がスタート」と語っています。

有機材料系の産学連携・実用化研究の取り組みは「山形モデル」と称しているようです。

出所:産学連携学 Vol.12, No.1, 2015

2018年6月には、米沢市に山形大学 有機材料システム事業創出センター(Yamagata University Business Starting Center for Organic Material or YBSC)が開所されました。なお、冒頭で触れた Yume Cloud JapanもYBSC内に入居します。

有機材料は、例えばディスプレイへの適用が最近盛んですね。先日ラスベガスで開催されたCESでも、中・韓企業が展示に力を入れていました。

CESでの韓国LG・中国ROYOLEの展示

思い返すと、2000年前後は三洋電機などが有機EL領域では進んでいた記憶がありますが、その後本格的な商用化には至らず、そうこうしているうち、結局中国・韓国に持って行かれてしまった感があります。山形大学のこれからの取り組みに期待したいところです。

今回、Yume Cloudの事業開発支援をきっかけに、山形と縁ができた感じが勝手にしているので、今後山形に注目してみたいと思います。

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Yume Cloud Inc.はシリコンバレー在住の日本人が設立したIoTスタートアップで、本社は著名アクセラレーター Plug & Play Tech Center(Sunnyvale, CA)内にあります。『GLOW』というIoTモジュールを核としたビジネスを展開しています。このモジュールにはモーションセンサー・衝撃センサー・音センサーが搭載されており、センサーの反応によりLEDが様々な色に、様々なパターンで発光します。各種イベント・レストラン等での活用が期待されています。

Yume Cloud Inc.はJETROのJ-Startup企業に採択されており、世界中のメジャーなスタートアップ関連イベントに出展しています。今年では、2019年1月のCES(米国ネバダ州ラスベガス)、2019年3月のSXSW(米国テキサス州オースチン)にも出展しました。CESには私も同行しブースに経ちました(Note記事)。