医師に求められる能力

医者になりたいの?(医学部受験に興味のある方へ)vol.3

Dr.みやこーちです。
段々暖かくなってきてすでに梅が咲き始めています。
例年よりやや早い開花ですが、このまますぐに桜も咲いてしまいそうです。
あと、悩ましいのが花粉症!
この季節はマスクや抗アレルギー薬が欠かせません。
Q.医師になってから「あれはやっておいた方が良かった」といったことはありますか?:20代男性(医学生)

前回説明し忘れてしまいましたが、僕はこの記事を書く上で「医師」「医者」「医学者」を分けて考えています。
前記事「医者ってナニモノ?」で書いたように、医師には「臨床」「研究」「教育」の役割・仕事があります
「医者」や「臨床医」というのは主に「臨床」(現場仕事)を主に担っている「医師」、「医学者」というのは「(臨床でも基礎でも)研究」を主に担っている「医師」です。
(大学医学部で医学生を教育するのは基本的に「医学者」の先生ですが、現場での教育は「医者・臨床医」が行います。)

さて、「医師」がこれらの仕事を行う上で必要なことはなんでしょうか?
(質問を質問で返してはいけませんが・・・)
僕が考える最も「医師」に必要である能力は「コミュニケーション能力」です。

・意外と難しい日本語
「コミュニケーション能力」と言っても多岐に渡って様々ですが、少なくとも日本で臨床医として仕事をするつもりなら、「伝わる日本語」と「相手の話の情報を簡単にまとめる」能力が必要でしょう。
また日本の医師世界というのは基本的に縦社会ですし、患者や家族への面談説明があるため「丁寧な言葉遣い」を駆使する場面が多くあります。
いくら頭脳明晰の医師であっても、コンサルト相手に話が通じなかったり、平気でタメ語を使ってしまったりしていると明らかに嫌がられます。
患者や家族へ病状の説明などを行いますが、説明中からすでに(?_?)となっていることもあります。
立場や相手によって様々な日本語を駆使しなければなりませんので、日本語って本当に難しく感じます。

・世界の医師との共通言語「英語」
今は医師向けの日本語教科書が様々出版されていますし、「医中誌」などの和文論文検索エンジンもあるため、日本語でも医学知識のアップデートは容易にできる時代です。
しかしインターネットの普及も相まって、海外での最新の研究成果を容易に目にすることができ、しかも自分の研究成果を海外医学誌に投稿しやすくなりました。
僕たち「医師」は常に世界に目を向けて仕事をしなければならない時代に突入しているのです。
もちろん海外医学誌はそのほとんどが英語で書かれています。
大学受験で培った英語力を存分に発揮できる場なのですが、ほとんどの医師は医学生時代に英語から離れてしまうことが多いので、医師になった時にはすでに中学生英語以下になってしまいます。

基礎研究、臨床留学問わず海外留学に行かれる医師も多いのですが、やはり苦労するのは英会話能力です。
もちろん母国語ではないので必要最低限で構わないのですが、やはり相手も人間ですからよく喋る外国人は可愛がりたくなるものです。
(逆に日本に留学に来ている外国人もいますが、日本語を少しでも話してくれる方が世話を焼きたくなりますよね?)
海外留学1年で日本の10年分の経験ができると言われています。
お金はかかりますが、その金額以上の価値が海外留学にはあります。

機会があれば海外留学は絶対オススメなのですが、やはり留学のタイミングが合わなかったり、海外へ行く度胸がなかったり、英語の自信がなかったりでチャンスを逸してしまうのはもったいないです。
学生のうちから世界を視野に入れて英語を話せる環境にいる努力をしたり、語学留学をするだけでも敷居が下がるのではないでしょうか?


A.情報をわかりやすく伝える、情報をまとめる能力が必要です。現代は日本語だけではなく、海外に目を向けるためにも英語力を学生のうちから鍛えることが望ましいです。可能なら早いうちから語学留学しても良い機会になると思います。
日本との医療の違いを感じてくるだけでも良い経験となったと友人は教えてくれました。
僕は留学できるご縁はありましたが、家族の問題もあって海外留学は断念せざるを得ませんでした。
それでも突然受診された海外の方の対応もしますし、外国人傷病者の紹介状を英語で作成したりしています。
ヨーロッパの方に興味があるならば受験科目で世界史も勉強しておくと良いらしいですよ。
                         by みやこーち

Dr.みやコーチと申します。一介の医者でありますが、自分やこれまで関わった医師たちとの経験から、将来医師を目指したい方や医学生の方、受験生の親御さん、医者が何か知りたいという方々に医師の仕事や必要となるスキルなどについて説明していきたいと思います。