福音

色んな所で色んなことを書きなぐっています。何がしたいんでしょうね。 https://…

福音

色んな所で色んなことを書きなぐっています。何がしたいんでしょうね。 https://kakuyomu.jp/users/mukaihikisara https://mypage.syosetu.com/176531/

マガジン

  • 引用と断片と挿話

    雑記帳、スクラップブック。忘れたくないこと。

最近の記事

距離と祈り

    • 専門家探しのジレンマ(手を挙げて来たその人がその道の専門家であることを、専門家でない自分がどうやって判別できるか)

      • 悪い夢

         想像力のない人の空想ほど危険なものはない。というのは、その空想がそのまま現実になるからである。 (エルヴィン・シャルガフ『人間の生の遺産』より)

        • 多神教の現在

           現代の生物学思想や歴史主義思想は、彼ら自体いろいろな見方があるにせよ、宿命について今までにない苛誥な信念をいずれもつくり出している。今日では業の力も、星辰の力ももはや人間の運命を不可避的に支配するものではなくなった。むろん、いろいろの力が支配権を主張してはいる。しかし、よく見てみると、多くの現代人は、ちょうど帝政末期のローマ人が混合した神々を信じたように、 いろいろのカの混合を信じているのである。 このことはそれぞれの力が主張するその要求の性質によって明らかになる。生存競争

        距離と祈り

        • 専門家探しのジレンマ(手を挙げて来たその人がその道の専門家であることを、専門家でない自分がどうやって判別できるか)

        • 多神教の現在

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          8本

        記事

          歩み寄り

          ふたりの学者  昔、アフカルの古代都市に二人の学者がいて、憎しみ合い、互いに相手の学識について言い争っていた。一人は神々の存在を否定し、もう一人は肯定していた。  ある日、二人は町の広場で出逢い、互いの弟子たちに囲まれて議論を始め、神々が存在するか否かを論じあった。長い論争の果て、ふたりは別れた。  その晩、神々を信じない方の学者は神殿に赴き、祭壇の前にひれ伏し、己の片意地であったことの赦しを神々に乞うた。  同じ頃、神々を崇めていたもう一方の学者は、その聖なる書物を焼き払

          歩み寄り

          哲学徒たち

           ザハロの父親。ポーランド人だ。十五歳のとき、一人の士官の横っ面を張り飛ばす。逃亡。カーニヴァルのある日、パリにたどり着く。持っていた僅かな金でコンフェッティを買い、それを売る。三十年後に莫大な財を成し、家庭を持つ。全くの文盲だったが、彼の息子が、たまに本を読み聞かせる。息子は彼に『ソクラテスの弁明』を読む。 「もうほかの本は読まんでいい。そいつがすべてを言いつくしている」 と父が言う。以来、彼は常にこの本を読んでいる。彼は判事や警察を憎んでいる。 (アルベール・カミュのノ

          哲学徒たち

          xxxしないと出られない部屋

          Cuando despertó, el dinosaurio todavía estaba allí. (彼が目を覚ましたとき、恐竜はまだそこにいた。) (アウグスト・モンテローソ『恐竜』より全文抜粋)

          xxxしないと出られない部屋

          追憶の観念史(または紀元前3世紀のエモ)

          50.亡くなった友達との思い出は、快である。 (エピクロス『断片』第二集より)

          追憶の観念史(または紀元前3世紀のエモ)

          既知の、あるいは未知の

           迷路の中で生まれた者は、出口を探すことがない。出口があることなど想像すらできないからである。 大昔から出口が探され、現在でもまだ探されているという事実は、われわれ全員の中に、かつては外界というものがあったのだ、というぼんやりした、埋もれた記憶が生き続けていることを意味している。 (エルヴィン・シャルガフ『世界史に対する嫌悪』より抜粋)

          既知の、あるいは未知の

          バズマーケティング終末論

           先月のことだろうか、iOS版のTwitter公式アプリにて、タイムラインから左にスワイプすると表示されるアカウント情報の下に、いつの間にか”収益を得る”なる項目が追加されていたことにようやく気付いた。有料のストリーミング配信でメイクマネーしろ、ということらしい。  資本主義のサイバースペース再領土化、などと知った風に語ってみたところで詮無きことだろうし、とっくに誰かが言及済みなのだろう。それでもおれは叫ぶ。  今日ほど情報が露骨にお金に還元できるようになったのは、いつ頃

          バズマーケティング終末論

          『クールベと海』展と、青色の話

           汐留美術館でやってる掲題の展を観てきたので、素人の感想を少しばかり。  なぜか全体として茶色くて地味な印象が残り、メインとなるクールベの描いた荒波よりは、ついで展示されていたモネやシスレーの目の覚めるような青い海辺が眼を惹く。上に掲げたのはモネのアンティーヴ岬だが、前半の岩と森の連続を眺めた後で突然現れたのが、一層この青色を際立たせていたようだった。(実物はもっと色彩に深みがあって単調さがない。)  クールベの描く山林は確かにかっこいい。重く、深く、陰がある。そびえ立つ

          『クールベと海』展と、青色の話

          おわりダイアリ その3

           通勤路の途中に、そこそこ大きな喫煙スペースが二つばかりある。  自宅の最寄り駅にある一方はきちんとスペースが区切られていて、ストゼロの空き缶が散乱していたり生垣から丸々としたネズミが出入りする以外は目立ったところはない。問題はもう一方だった。職場の最寄り駅に近いそこは高架下の奇妙に入り組んだ歩道の一角に位置しているのだが、コンクリートの柱に沿ってぽつんと置かれた吸い殻入れ以外に、そこが喫煙所であることを示すものは何もなく、人通りの多い駅前であることと相まって、朝はたいてい

          おわりダイアリ その3

          ツイッター社が示したアメリカ民主主義の落日

          運が悪ければ、確かに2021年はアメリカの政治秩序が破壊された年となるだろう。 ツイッターがドナルド・トランプ大統領のアカウントを永久停止し発言を削除した。ほぼ時を同じくして、グーグルとアップルが共和党支持者の利用するSNSであるパーラーの削除に乗り出した。 ツイッター社は検閲と言論弾圧を加速させているという批判もあれば、民間企業が自分の所有するプラットフォーム上で何をするのも自由、という声もある。これらの意見は、おそらくある程度どれも正しい。問題は、一テック企業が一国の

          ツイッター社が示したアメリカ民主主義の落日

          権利と自由意思なるもの

           自由や平等といった理念が他の俗信や宗教と異なるのは、それがフィクションであり発明された嘘であることが分かっているにも関わらず、その実在を信じなければいけない点にある。これを信じないとする者は、まず第一に自己の権利を保証する論理的後ろ盾を無くすことになる。いわゆる”大文字の他者”において、この権利なるものは少なくとも未だ疑われてはいない。  自由意思の存在は否定しうる。問題は、一度それを否定することで連鎖的に個人の責任や罪罰の存在も疑うことに繋がり、近代以降の社会の基盤全体

          権利と自由意思なるもの

          コミュニケーションは万能薬ではない

          コミュニケーションは万能薬ではない

          宗教としての資本主義、神学としてのシステム工学

          現今の資本主義への服従的な態度、技術発展に対する全面的な期待を、宗教学的な枠組みでとらえられないか。 「神は存在しない、人は死ぬと無になる」という考え方を堅持する唯物的な信仰は、神を求めることの裏返しではないか。 技術革新とそれによる永続的な物質的繁栄を、近代以降の唯一の可能性とする枠組み。永続性という明らかな神性。歴史の終わりという神話。 物質的に人類は常に進歩してきたという言説。神学的にこれを見つめなおすことで、メタ的な観点を構築できるかもしれない。

          宗教としての資本主義、神学としてのシステム工学