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(連載60)注文を受けて、その場で服を仕上げるゲリラショップ:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:2008年

時は2008年。

私の人生で、古着のリメイク・ビジネスがかなり軌道にのってきていた頃です。結婚して、ロサンゼルスに来てから、20年!やっとひとつの仕事に落ち着いた。。。。(ちなみに、すでにアラフィフ!!笑)

しかし、自分は、仕事がうまくいけば、いくほど、他の事がやりたくなるのでした。

ファッションのビジネスは、インディなレベルから誰でもすぐ始められるし、売れたら利益率も高い(そうです)しかし、私は80年代にコマーシャルアートの仕事で、多忙すぎて抜け殻のようになってしまった経験があるので、ビジネスの世界(だけ)にどっぷり浸かってしまうと、もう蟻地獄になるのは、わかってた。

たまたま時代に付合すれば、やっていけるけど、時期が過ぎてしまえば、おそらく、自分はその速さに、ついていけなくなって、洋服は「着るアート」だなんて、のんびり言ってるいられなくなる。

。。。。同じ過ちを犯したくない。。。。。

ただ、

だからといって、何を?どうすればいいのか?わからなかった。

暗中模索で、とりあえず思いついた事を、片っ端からやった。ビジネスの枠からはずれたファッションショー、大した技術もないのに、音楽のバンド、 またパフォーマンス・アートのような事や、服の絵を描いたり、、、と。

それらは、まったくお金にはなりませんでしたが、逆に、古着のリメイク・ビジネスでマネタイズできていたので、なんとか生きていけました。

つまり、経済的な土台があったので、あとは何をやってもいいぞ!と、自分で自分に「ゴー!」サインが出す事ができた。


そこで、コレ!

ここからが今回のお話。


はい、ブチかましましたよ!

荒くれソーイング!!!


注文をもらって、すぐにお持ち帰り!!って。

何を?

カフェラテ??

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ハンバーグ?

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お弁当?

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服ですよ!!ふく!!

き  る  も  の !!!


外に出る時に体を覆う物ですよ。

袖を通して、歩くやつです。

それをその場で? お持ち帰り?


あ、ドライクリーニングか〜?


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服を作るんですよ!!!

たったの15分で。

しかも、採寸して、お客様のサイズで〜!


前回にお話した、荒くれソーイングだと、それが可能!

なんせ、スピードで、勝負してるんで。

怖いものなし!!


がぉ〜!!!

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題して

インスタント・クチュール


このイベントのメンバーは、その頃いっしょにジャンポール・ヤマモト(音楽のバンド)をやってた、あやこちゃん(右)と、もえちゃん(左)


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ちなみに、この二人は、バンドをいっしょにやってただけじゃなく、私のリメイク仕事のアシスタントでもありました。

荒くれ者(アタクシですが)は、あまり社交的ではなく、知り合いも少ないんで、仕事のアシスタントとバンドのメンバーとパフォーマンスをやるメンバーが全部同じ人物!!

超絶、狭い人脈!

なので、私にしてみれば、彼女達は、何をやるにもいつも、助けてくれる(本人たちにしたら無理矢理、担ぎ出される)貴重な存在なのでした。

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注文をとって、採寸して、インスタントで仕上げて、売る。たしか35ドルくらいだったと思います。うちら的には激安!! でも、お客様的には、どうなるかわからないものにお金を払うんで、微妙なお値段でしょう。

ただ、使用する生地は白いTシャツの生地オンリーにしました。なので素材のチョイスはありませんが、デザインの方は、オーダーメイドなので、お客様の希望になるべくそうようにしました。

そして、お店のウィンドウで、その制作風景、荒くれ・ソーイングを披露。つまり、蕎麦屋の「手打ちの実演」とおなじコンセプトです。

さて、まずは、ハリウッドの「ラルール」というお店で。

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事前に、「こういうオーダーメイドがその場でできるゲリラショップをやります」と、ダイレクトメールを出してもらいました。

そして、ウィンドウにジャンポールのフラッグと、ミシンを2台、そしてカッティングのテーブルを持ち込みました。

音楽はもちろん自分のバンドの音楽をガンガンに流してもらいました。


ただし、、、

一曲目は、、、、

何でしょうか??? 

うふふ。



爆!!爆!!爆!!


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まず、準備体操は大事です。ぎっくり腰にも注意のお年頃ですしね。

っていうので、これ。ウィンドウの中で!!笑

ハイ! いち、に、さん、しっ!

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このラジオ体操、この時はテレビでやっていた(今でもやってる?)オリジナルの音源を流して、普通に体操しましたが、

みなさん、あの音楽って、ご存知ですかね? 

あれって、メロディーがありますよね?

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後にですね、それに歌詞をつけたんですよ。

あの音楽のつまりカバー曲を作ったんですよーーー!!!

タイトルはですね、「シュガーダディーの歌」といいます!

英語で、シュガーダディーというのは、いわゆる、若い女性にお金を貢ぐお金持ちの男性のこと。つまり、いろいろと若い女性が欲しがるものを買ってあげるので、女性の方はそれをいいことに、甘えるみたいな?ある意味、ウィンウィンな関係?苦笑

まあ、いろんなケースがあると思いますが、一般的にはそういうかんじでしょうかね?

で、オリジナルの歌詞は、英語ですが、日本語に訳すと、こんな内容です。

シュガーダディーの歌

シュ、シュ、シュガーダディ、シュ、シュ、シュ

ハンサムなシュガーダディ、シュ、シュ、シュ

さみしいシュガーダディ、シュ、シュ、シュ


(サビの部分)

飛んだり、跳ねたり、踊ったり、歌ったり、泣いたり、落ち込んだり、

全部がシュガーダディー


愛と平和が、彼のスタイル

ポジティブ思考が彼のスタイル

空気読むのが彼のスタイル

ハッピー・エンディングが彼のスタイル


飛んだり、跳ねたり、踊ったり、歌ったり、泣いたり、落ち込んだり、

全部がシュガーダディー


私とシュガーダディー!

あなたとシュガーダディー!!

彼女とシュガーダディー!!!

シュガーダディの歌。。。。。。



英語のオリジナルの歌詞が欲しい方は、連絡ください。笑 英語だと、実際にラジオ体操のメロディで歌えます。

この曲、自分のバンドのライブで何度もやりました。「シュ、シュ、シュガーダディー」って、歌いながらの振り付けは、もちろんラジオ体操です。

これで、紅白に出たいな〜!笑



さて、話もどして、インスタント・クチュールのイベントの続き。

準備体操してると人が集まってきた。笑

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だんだん、人が集まってくる。友達にも声かけてたんで、来てくれた〜

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もえちゃんが、外で客引きの役目。オーダーをとってくれて、荒くれの私とあやこちゃんがウインドウの中で、縫いはじめます。

みんなおもしろ半分で、次々にオーダーしてくれた。

採寸して、カッティングして、縫う。インスタントですから、考えてる時間はありません。即断、即決です。

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そして、作ったものは、制作時間を書き込んで、ウィンドウにはってゆきました。

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これは、ジェームスさん用、なんと12分20秒で仕上げてますね!!

もちろん、荒くれソーイングですから、ほとんどが、切りっぱなし。

デザインもそんなにパターンで凝ったことはできません。でも、襟の部分をドレープにしたり、タンクトップにしたり、ワンピースにしたり、長いロング丈にしたり、ミニにしたり、と、一応は希望にそったお仕立てにしました。

私とあやこちゃんで、気が狂ったように、2時間、集中して縫いまくりましたよ。10着くらい作ったかなあ。

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そして、みんなには喜んでもらった。(ような気がする)


2回目はこちら。

コルバーシティのロイヤルTというギャラリー、レストラン、お店が一緒になってるところ。通りに面しているウィンドウです。

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ここも、ラジオ体操をしてから、

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早速開始。

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もえちゃんが、客引きをしているところ。

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立体裁断のマーキングをしているところ。

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後で、思い出したのですが。確かこの時、注文してくれた女性が、採寸している時に、「私はX JAPANののヨシキのガールフレンドなの。」って言いました。その彼女、無茶苦茶、美人だったんで、信用しました〜。笑

上のお写真の方かな〜? 違うかもしれません。

ともかく考えてる暇ないんで、平面から立体へ、カッティング。もう布に直接ペンでパターンを予測した形を描いて、切る。

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あとは、ひたすら縫う。

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出来上がったものは、ウインドウへ貼り付ける。

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そして、、2時間以上気が狂ったように制作に集中。ただただ、縫い続けた。

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ウィンドウの中で、縫いながらの私とあやこちゃんの会話はこんなんでした。

あやこ:こんなことってやって、なんか意味あるんですか〜?
ルンナ;こういうのを、アート・パフォーマンスっていうんだよ。アートだよ。アート!!はい。喋ってる時間ないから、続けて、続けて!!

また、しばらくしたら、

あやこ:でも、なんか、作るものの完成度が低すぎませんかねー? もっと、落ち着いてゆっくり縫いたい。 
ルンナ:あのね〜。これって、荒くれインスタントの実践なんだから、完成度とか、そういうのはどうでもいいのよ!!!何も考えなくていいから、さっさと縫って!縫って!!

もえちゃんは、仏教系受け身キャラなので、そんな二人の口論も、どこ吹く風のニコニコ顔!で、客引きを続けていた。苦笑

なんだかんだで、また10着くらい仕上げたと思います。

そして、オーダーのすべてをこなし、ぐったり。

2時間以上、ずっとウィンドウにこもって、縫いっぱなし。。。


終わってから、あやこちゃんがついに、

「もう、アタシ、こんな事はやりたくないデス」って言った。

私も、マジ、これって、仕事みたいだよなぁ〜って。苦笑

もともとリメイクの仕事が忙しかったのもあり、結局、これは2回で、打ち止めとなりました。



でも、のちにジャンポールの音楽ライブをやった時に、この時に我々が作ったTシャツを着てきてくれた男性がいて、

それは3枚仕立ての、まったく同じデザインが3枚重なったようなTシャツで、その男性も気に入ってるみたいで嬉しかったです。

荒くれでいることはエネルギーがいる

けど、やっぱり、やってよかったな。と思いました。



次回へ続く。

L*






























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