イードアルアドハーとスエズ運河
【海外写真放浪記】Egypt 4 スエズ
※ヤギや牛を捌く写真が出ます※
エジプトのシナイ半島には1869年より開通したスエズ運河がある。長さが約193キロメートルで、地中海と紅海を結びアフリカをぐるっと回り込まなくてもヨーロッパからアジアへ抜けられる最短のルートとなっている。
ダハブバス停
ダハブに滞在し、シナイ山の巡礼を終えた僕が次に訪れたのがこのスエズ運河の名前の由来ともなったスエズの町だ。
到着して直ぐに思ったのが中々栄えた町だと言う事だった。
理由は海産物の漁場がある事に加え、運河の仕事関係者などが滞在しているからだと思うが、一番の理由はやはり通行料だろう。
実は運河の通行料は莫大な金額になる。ガスのタンカーが一隻通行するだけで5000万円ほど掛かり、日本は1年間で約400億円の交通料を支払っているそうだ。
そんな事を知らない僕は、エジプトに来てから美味しいものをあまり食べていない事に気づき、海の幸を頂きに来たのだが、なんとこの到着した日からイスラム教の祭礼の一つ、犠牲祭(イードアルアドハー)が行われていた。
イードアルアドハーとはアッラーに羊を捧げる儀式。と簡単に説明してしまえばそうなのだが、当日の朝、牛や羊が路上に生きたまま繋がれそのまま路上で切られてゆく。
この平穏に繋がれていたヤギが
綺麗にカットされて行く。
後ろの牛の写真も何枚もあるが色々な状況で読まれる方が居ると思うので割愛します。
と、まぁ手際よく裁かれていくのだが、この祭事に合わせて家族で集まったり、友達と出かけたりと結構ハッピーな物。
勿論子供達も目の前で捌かれていく牛を見てその後食べるのだけど、コレに関しては日本の子供達の間でも同じ様な事をやってあげられないかと思った。
スーパーに並べられている肉しか見ないで育った僕も含め、こうした体験がなければ食に関しての尊さは得られないんじゃないだろうか。
そんな訳で、魚を楽しみに来た僕は年に一度しかない誰もが肉を食べる日に大当たりしたのでまたファラフェルを黙って食べる事となる。
そしてこの日の朝の話になってしまうのだが、僕は軍人に拘束され軍施設へ連行されていた。
突然の話で申し訳ないが、それ程唐突に拘束される時はされるのだ。
まずは朝6時に起床し、イードアルアドハーの写真を撮ろうと町中を徘徊しながら撮りまくっていると、後ろから銃を持った軍人二人に羽交い締めにされ、カメラを没収される。
その後銃を向けられながら、軍事施設まで連行されるのだが、軍事施設内なので数台の戦車と擦れ違う。皆アイツは何だ?の顔で見てくるので冷や汗しか出ない。
まずはグラウンドで500人程度の軍人が朝礼をしていて、そこへ連れて行かれアラビア語で何やら呼びかけ、英語の話せる軍人が五人程選ばれた後施設内へと連れて行かれる。
ここまで英語が全く通じなかったので安心感が芽生えた。何を言ってもNOしか喋れない軍人に銃を向けられるのはたまったもんじゃない。
そして事情を説明すると、イードアルアドハーだからお前はラッキーだ的な事を言われて、朝撮った写真は全て消されて帰る事を許されたのだけど、何が起きたかというと
そう、スエズ運河は撮影厳禁。
国家主導で経営され、尚且つ通行料も桁違い。さらに言えば第二次中東戦争の引き金がこの運河って事を、魚を食べに来た僕は全く知らなかった。
後にも先にも銃を向けられたのはこの時だけで、勿論僕の知識不足が招いた事だったので、本当にいい勉強になった。
もう二度と忘れないスエズ危機。
次回 Egypt 4 バハレイヤ 西方砂漠
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