見出し画像

書けるときに日経日記 2021年6月21日

■全体感
今日から東京含めた9都道府県でまん延防止法に移行する。集団免疫獲得前の社会での、1段階緩んだブレーキとアクセルのバランスになる。とは言え、1番の関心事はワクチン接種の進行状況だろう。

国内の、設備投資の推進状況なども業界による明暗が分かれている。コロナ後の社会の重要論点は、コロナによって変わった需要と、それを供給する体制のバランスの是正にあると思う。
それぞれの企業が、それぞれに見通したコロナ後の社会の姿を見据えて設備投資と言うアクションを行っている。

また、世界でのM&Aが推進している。有利な企業が、そうでない企業を傘下に収めて優位性を確保するタイプのM&Aが伸びている。M&Aによる投資額と研究開発費の比率が相互に影響している。自社で研究開発をするのではなく、M&Aによって安易に新技術を得ようとする動きが増えている。

投資は、人・モノ・金でいう金を、モノや一部では人に変えるための動きである。
コロナによる将来不安からキャッシュポジションを増やしている企業が多くの金を持ち、そしてそれを将来を見据えたものや人に転換する動きが活発になってきていることを設備投資やM&Aの記事から感じる。


■今日の数字

10.8% →2021年度の設備投資動向調査からの、日本の企業の設備投資の前年比増加見込割合

2.3倍 →世界のM&A投資2021年1月~6月までの前年同期間比の増加割合

1373万人 → 6月18日時点における職場接種の申請者累計。3479会場で。

5割 →雇用の安定を求める未婚者の数


■所感
中国やイランなど、その国の政策や指導者の考えなどが反映された政治的な動きとは別に、それぞれの国にはそれぞれの国の人たちがいる。そしてそれぞれの国の人たちは、人間なのだから基本的に求めるような行動や考え方は共通している面がある。

私達のような人間が非常に統制された社会の中にいれば感じるようなことを彼らは少なからず感じている。私達が求めるような俗的なことを彼らも本当は求めている。そういった事はイランの国内事情に関する記事や、中国のネット通販の現状などから感じられる。


設備投資回復、10.8%増 需給逼迫・デジタル対応で
コロナ後成長へ布石 今年度本社調査

今日は一面に投資関係の記事が2つある。設備投資とM&A。
安全性の確保として積み上げたキャッシュを、未来が具体的に見えてきたために事業用資産に振り返る動きが進んでいると言うことだろう。

コロナによる金融緩和政策、そして政府保証等の融資制度もあり企業がキャッシュを積み上げている状況であった。
そして投資はキャッシュをその他の資産に変えるためのアクション。キャッシュは、キャッシュであるだけでは何も生まない。安全性を担保するだけにしかならない。それを具体的なその他の資産に置き換えることによって初めて生産活動に貢献する。

コロナ後の将来に対して積極的な投資活動が進んでいる事は良いことであり、それが先々の生産性改善に貢献する。

M&Aの投資額が増えている事は、以前の記事で研究開発費の伸びをM&Aに振り替えている観点からの記事があった。自らが研究開発活動する代わりに、スタートアップなどをM&Aすることによって安易に新技術を取り入れると言う考え方。

それはそれで戦略の1つとしてはアリではあるが、今後行き過ぎた格差是正に向けて反トラスト法が強化される。そしてその規制対象には当然M&Aも含まれる。今後、そのような規制がM&Aのところでどのような影響与えるのか注目である。


<強硬イランの火種(上)>ライシ師、国民の不満直面
現政権の融和路線転換へ 若者変化、物価高が打撃

イラン全体が一枚岩で核を開発したいと思っているわけではない
イラン全体が一枚岩で、経済制裁を受け入れて、厳しい宗教的な縛りを受け入れているわけではない。
このようなことをまざまざと感じさせる記事
だった。

国の経済の状況は数字で止めることができるが、実際のその数字の中で生活にさらされている人たちの気持ちを想像するのは、数字だけでは難しい。
若者の失業率25%、そして宗教的な縛りで結婚しなければ男女ともに改質できない中で、お金がなく結婚できないと言うような状況にさらされている若者たちがいるのだ。

数字から類推される想像力によって補うことができるかと言うと、ある程度は可能かもしれないがちょっと難しい。実際にその社会を見たり、その社会を見た人の記事を読むことで数字からくる想像力を補うしかない。

表面的に見れば、イランが対米強硬派の指導者を得たことによって、中東への武力配置を弱めた米国としては力関係が変化すると言う認識でいたが、それ以上にイラン国内においては複雑な事象であり国民は苦しんでいると言うことを再認識させられる。

国民の、国の実質的な豊かさは、一人当たりGDPで図られると思う。その国に暮らす人たちが本当に豊かであるかどうかは、一人当たりの生産性と労働分配率によって求められるその人一人当たりの受け取る給料で計られるからだ。
そして、イランやトルコなどは一人当たりGDPが伸びていない。日本も一人当たりGDPが伸びていないと言う意味ではここ30年程度変わらないが、そもそも予想水準が違う。

中進国の境目である一人当たり10,000ドル前後でくすぶっている国の国民は豊かになりきれてはいない。その中でも、一部の富める人とそうでない人との分担も進んでいる可能性がある。これは中国やアメリカの国内の所得の分離と同じ事を当てはめて想像するしかない。


中国共産党支配の行方
独裁維持、強権しかない 前防衛大校長 国分良成氏

この記事はとても読み応えがある。
3人の有識者が中国共産党支配についての経緯と今後について語っている。

清華大学の胡さんは、非常に中国共産党的な立場からの見解を述べている。まさに中国指導部そのものの視点で現状認識を語っている。一方で、前防衛大学校長の国分さんは、俯瞰的に国際関係の中における中国の位置づけと日本の立場からどのように中国と接していくかと言う観点から非常に現実的な意見を述べている。

コロンビア大学教授のアンドリューさんは、習近平氏の後継人材の不在のリスクを述べている。
中国の歴史は、権力闘争の歴史であり民主主義国のように明確な人選のプロセスがない。
それゆえに、様々な権力闘争があり、そして習近平氏が永遠にトップに立ち続けるようなイメージがある現状においても水面下では様々な闘争があることが類推される。

現在68歳、確かに普通に考えればいつ何があっても不思議ではない。そしてそれが想定外のタイミングで交代が起きたときの国家としても混乱は、計り知れないものがある

まさにこのペースで取り上げた3人の有識者の持つ見解のバランスを持って、複眼的に中国を見ていく必要があるだろう。 

以下、記事全体像。

画像1


日本でも「V字」回復はあるか
編集委員 滝田洋一

日本は今まさに、民間の運営力を活用してワクチン接種の加速に邁進している。
うまくいけば、早期に集団免疫期待を盛り上げることによって経済のV字回復も可能だろう。

私の身の回りでも、様々な議論が起きているが、確かに対面をするサービス業など、そしてリアルな訪問が必要な営業を要する事業等は、ワクチン接種のスピードが企業間の競争力を分ける可能性がある。
民間の、具体的な競争環境の中で職場接種が加速度的に進むことを期待したい
。しかしながら、接種に根本的なリスクを感じている人も実はかなり多く、その人たちに強制的なワクチン接種を進めざるを得ないような状況を避けなければいけない。

1日接種数が、100万回を超える巡航ペースに入り、職場接種の推進によってそれがさらに加速した場合には、8月中にも4割程度の人が少なくとも第一回接種を終えているような状況になる。
おそらく、第一回接種が4割5割程度まで行った段階で、国民のワクチン接種に対する心理によって進捗が滞る場面が出てくるかもしれない。
1階接種をした人が2回接種を満了するまでの間、新たな第一回接種の人の積み上がりが遅くなるようなイメージ

日本の場合は、100万回を超える巡航ペースに入りV字回復を実現して初めて周りの国に追いつく。

日本が本当に国が集団免疫を獲得するまでには、国民のワクチンに対する心理的な抵抗があり、他の国と比べて時間を要する可能性がある。その点について特に注意が必要だろう。


未婚者の5割「雇用安定を」
本社調査 コロナ下、4割超が結婚に意欲 

コロナによって、少子化がさらに加速する。実際のリアルの出会いの場や、アプリなどを使った出会いの行動そのものの進捗をコロナが大幅に遅らせた。

この記事を読むと、やはりコロナ後における少子化対策は、ワクチン接種の推進によって誰もが自由に出会える世の中にすることと、特に若年層における安定的な雇用の提供と所得の向上だろう。

以下、記事より。

画像2

もちろん子育て環境が整っていないと、結婚をしても子供を作らないケースもある。しかしながら結婚そのものを支援する活動が少子化には1番効くように思う。
結婚をした夫婦における出生率は2にかなり近づく
現場後日本の1.34と言う出生率は、結婚していない人たちも含めた上での計算になる。当たり前であるが、結婚しなければ子供はできない。そして、結婚をした人は実は2人位の子供を平気で作っている。
結婚をした人たちにもっと子供を作るように促すことと、結婚していない人たちに結婚しやすい社会を提供することと、この両輪を意識して政策を回していかなければ少子高齢化問題の根本的な解決にはつながらない。そして、その解決の道筋が立ったところで少なくともその子供たちが成人をして経済的な活動するまでのタイムラグが20年以上あるということを認識しておく必要がある。


この記事が参加している募集

習慣にしていること

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?