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【本紹介】僕の狂ったフェミ彼女

今日はこちら、僕の狂ったフェミ彼女。

 韓国の小説で、フェミニストの女性と、韓国でのごく一般的と思しき男性の恋愛…と言っていいのか、一緒に過ごした生活の一部を切り取った話。男性目線で描かれていて、ひたすらすれ違い、噛み合わず、それでも話し続ける姿が印象的だった。
 2022年3月に日本国内で翻訳・出版された本だが、本国の韓国では2019年に出版されている。正直に言うと、以前このnoteで取り上げた『私は男でフェミニストです』でも同様のことを思ったのだが、韓国における女性の地位がここまで低いと思っていなかった…というのが本音です。でも、だからこそ韓国の女性たちが、これほど鬼気迫って、毎週末のように激しいデモをして、それでも社会が変わらなくて苦しい、声が届かない、取り合ってもらえない、聞いてもらえない、という苦しさが、主人公の女性をこのように強く、また激しい選択に駆り立てるのだろうとも想像する。

 読んでいて衝撃的だったフレーズはこれ。

世の中が私をフェミニストにするんだよ

 衝撃的過ぎて震えた! けど、本当にそうなんだよ!と思った。彼氏のスンジュンが言うようにこの女性は「根はやさしい」のだろうが、同時に、自分の尊厳は自分で守る、そのために社会や他人に迎合しない、自分を切り売りしないことを徹底している。その気高さが周りからは滑稽に映るのだろうし、「何突っ張ってんの、そんな不便な生き方しなくてもいいじゃん」と言われてしまう。この女性とスンジュンが、最後まで相手に期待しながら、主張して話し合っていく姿は、敬意を覚えた。

 私はこの女性のように、強く自分を貫き、周りに迎合しない生き方を選択することが出来ない。この女性に対して、熱狂的に共感するというよりは、男性側の気持ちも分かるように感じる。私も、日々の中でジェンダーに関するコンテンツに触れ続けたり、あるいは今所属しているコミュニティの中で比較的ジェンダー平等的な立場に(他者から)位置付けられているために、そういう自分のアイデンティティを保っているのかもしれないと思うときがある。もし、そういった自制心や制約がなかったら、今の社会に迎合した方が楽にお得に生きられてコスパ良いじゃん!と考える自分を受け容れてしまっていただろうと思う。


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