見出し画像

博士がゆく 第31話「はじめての学会発表-いそいで実験編④」

↑↑↑↑↑↑↑↑
本文を読む前にフォローしてください!
博士(ひろし)の研究室ライフを平日午後6時に毎日更新中です!
フォローすればTLに「博士がゆく」が表示されるので最新情報を見逃さずに済みます💪
なので(2回目ですが)フォローよろしくお願いします!
それでは本編をどうぞ。
↓↓↓↓↓↓↓↓

前回のつづきから)

「そんな簡単に言うなよ」

「そうさ。簡単じゃないよ。それでも自分に研究が向いていないと認めて、他のことに目を向けるんだ。それはとてもツライ決断になる。だからこそ、簡単にできるデータ誤植なんかより価値があるんだ。誰にでも簡単に出来ることに価値なんかないよ。でもね、他のことに目を向ける決断をしたからこそ、世界でひろし君だけに簡単に出来ることを見つけられるんだ。研究がダメだったらそれを探しに行けばいいじゃないか」

ふぅ。博士(ひろし)は返事をする代わりに短いため息を吐いた。正直自分に研究の才能がないとは認めたくない。

研究室内での研究発表も、実験も頑張ってきた。そのおかげで同期の学生の中で、自分だけが指導教員に学会発表の打診をされたのだ。

ここはひとつ、さらにデータを追加して指導教員の博士に対する評価を高めたかった。

「学生がやった実験データの誤植がそんなに問題になるのか?」

「正直に言うと、大きな問題にはならないかもしれない。学会発表では発表スライドも保存されないから証拠は残らないし、そもそもたくさんの発表があるから学生の研究発表に対する注目度もかなり低い」

「それでもひろし君の発表を楽しみに見に来ている人がいるはずだよ。それは指導教員の共同研究者かもしれないし、ひろし君の研究と近い研究をやっている人かもしれない。ひろし君が誤植したデータが彼らにとってすごい価値があるデータだったらどうする?もしかしたら彼らの研究を全否定するデータになる可能性だってある」

「そんなデータが誤植だったら、彼らは2度とひろし君のデータを信用しないだろうし、ひろし君の指導教員の信用も落ちるだろうね」

「指導教員に恨みがある場合は効果的かもしれないよ」

思わず博士の口から笑みがこぼれた。指導教員に恨みはない。データ誤植のリスクも分かってきた。とはいうものの残された1ヶ月間は全力で実験に励もう。うまくいけば実験データも出るかもしれない。

「わかった。もう変なことは考えないようにする」

「やっぱりデータ誤植を本気で考えていたんだね?」

細胞くんにそう言われてギクリとした。思わず口がすべった。

(つづく)

「博士がゆく」を読んでの感想や細胞くんに解決してほしいお悩みは質問箱へ!

あなたの悩みが「博士がゆく」に掲載されるかも…?

~著書紹介~

博士になるには?
 
博士課程進学の際に湧き出てくる無数の質問に、博士が答えました!
博士課程を修了したからこそわかる!
博士を目指すあなたに向けて、ハッピーな大学院生活を送る秘訣がつまった本です! 

博士を目指す人向け!奨学金のお話し

博士課程に進学する際に、安易に奨学金を借りてはいけません!その理由と、奨学金を借りずに大学院に進学するための方法を、奨学金を8桁借り入れた著者が解説!博士を目指すあなたが、大学院でお金に困る確率を減らす秘訣がつまった本です! 


この記事が参加している募集

スキしてみて

いただいたサポートは、博士へのより正しい理解を広めるための活動資金として使わせていただきます。