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カフェ色々~スターバックス サイニングストア~

スターバックスは様々な社会貢献のための取り組みをしていることで知られています。今回は国立にある、スターバックス サイニングストアでの体験とともにに、障がいを持つ人々のための雇用政策についてつづっていきます


1. スターバックス サイニングストアについて

JR国立駅の中央改札を抜けた、すぐ先のnonowa国立の入り口にスターバックス サイニングストアはあります。間仕切りのないオープンなフロアは窓からふりそそぐ光を前面に取り入れて、とても明るい雰囲気でした。

この店舗は、2020年6月にオープンした聴者と聴覚障がいのある人が共に働き、手話や様々なコミュニケーションツールを利用する、日本で初めて、そして、世界で5店舗目のストアだそうです。

店内のスターバックスの表示は通常の英語表記のほかに、イラストで指文字(アメリカン サイン ラングエッジ:アメリカの手話)のサインが記されていました。店内には、このサインの入った、店舗限定のマグやジャーナルブックが販売されていました。

スターバックス サイニングストアにて

週末の昼どきということもあり、店内の83席は、ほぼ埋まっている状況でした。私が訪問した時は、ろう者の方が3名で対応されていて、お互いに手話でやりとりをされ、忙しく立ち動いていらっしゃいました。

2. 普段と異なるコミュニケーションの中で

注文は、まず、メニューで希望のドリンクを指さしで知らせるところから
はじまります。その後、別のシート(下の写真を参照)でカップのサイズ、カスタマイズの有無、フードの有無を知らせます。電子メモパッドにこの内容が記入され、レジとドリンク提供のスタッフに伝達されます。他のスターバックスでおなじみのオーダーの読み上げは、もちろんないため、静かな空間の中で注文の過程が進んでいきました。

スターバックス サイニングストアにて

思い返してみると、従業員の方の笑顔が印象に深く残っています。笑顔が素敵だったのはもちろんのこと、私自身が読唇のために、表情や相手の話す内容を読み取ろうと、普段より相手の表情に注目していたからかもしれません。また、従業員の方の感情表現が、より強く表情に現れていたのかもしれません。言葉ではない会話のやり取りの中で、様々な気づきを得たひと時でした。

3. 障がいを持つ人々の雇用の機会が増えるために

日本では、障がいを持つ人々の雇用機会の促進のために、障害者法定雇用率を設けており、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を持つ人が対象となっています。

障害者雇用促進法43条第1項では、従業員が43.5人以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務がある、と定めています。

民間企業の法定雇用率は2.3%で、従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障がいある人を1人以上雇用しなければならないという計算になります。ちなみに、国や地方公共団体の法定雇用率は2.6%となっています。

義務を履行しない事業主には、行政指導がなされ、雇い入れ計画の作成命令、この計画の適正な実施の勧告、特別指導、さらに企業名の公表が行われます。

このほか、障害者雇用納付金制度があります。常用労働者の総数が100人を超える超える事業主で、障害者法定雇用率(2.3%)未達成の場合は、納付金を収めることとなっています。この納付金は障害者雇用調整金、報奨金、各種助成金の財源となるという仕組みです。納付金の金額は法定の雇用数に不足している人数分、1人あたり5万円となっています。

厚生労働省が発表した集計結果では、昨年度の一般企業の、実雇用率は2.25%、法定雇用率達成企業の割合は48.3%でした。長年、雇用率が上がらない要因の1つと言われてきたのが、除外率制度です。障がいある人の就業が困難であると、国が定めた業種について、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除する制度が設けられていました。 

この制度は2004年に廃止されましたが、経過措置として、段階的に除外率を引き下げることとなり、2004年、2010年に引き下げが行われました。

現在、除外率が最も低い業種は、非鉄金属製造業、倉庫業、船舶製造、航空運輸業等の5%、建設業 、鉄鋼業 、道路貨物運送業 、郵便業は20%となっています。教育関係は、比較的除外率が高く、高等教育機関30%、小学校55%、幼稚園、認定こども園が60%です。最も高いのは船舶運航業の80%でした。

2024年には、さらに10%引き下げの予定になっています。

法定雇用率も2024年4月に2.3%から2.5%に、2026年7月には2.7%に引き上げの予定になっています。さらに、2024年4月から、週の労働時間が20時間未満の方の雇用についても0.5カウントとして算定できるようになりました。

https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf

目指していく方向としては、就労の機会が増えるということにとどまらず、法人のしっかりとした受け入れ態勢が整えられ、職業の選択の幅も広がっていく必要があると感じます。

4. 他にもあるスターバックスの様々な取り組み

スターバックスでは、他にも地域、そこで暮らす人々のための様々な取り組みがなされています。

その1つが、認知症カフェ。2012年に日本にはじめて日本に紹介され、多くは介護事業所、NPO法人、ボランティア団体などが、地域で定期的に運営してきました。

カフェは、認知症の当事者、家族、支援者、地域の人々が集い、当事者の人々が安心して地域につながり、どの人も同じ立場で交流できる場を目指しています。そして、真に理解することが、偏見の払しょくにつながるともいわれます。

スターバックスの認知症カフェは、2016年に町田市、一般社団法人Dフレンズ町田の協力でスタートし、現在も開催され、その他の地域でも同様の取り組みが広がっています。多くの地域の認知症カフェがPRの難しさを抱えている中で、多くの人に知られているスターバックスカフェで開催することは、PRにも効果があり、また、ふと見かけた人が立ち寄ることができる気軽さもある、と感じました。

その他、学校の外での体験が不足していると言われる、経済的に困窮している家庭の子どもたちへの、キッズバリスタ体験「ハミングバードプログラム」。様々な経験を得ることが、子どもたちの将来への可能性を広げ、見守ってくれる大人の存在を知る機会につながることを目指しているといいます。

スターバックスでは、このほかにも、ダイバーシティ&インクルージョンをテーマとして、様々な試みを行っています。別の機会でまた取り上げていきたいと思います。





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