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開発組織づくりの3ステップと3つの役割

中途入社で引き継いだ新規事業を、マネジメント視点で振り返りました


はじめに

こんにちは!GLOPLAのPOの松尾(@tamatsuo)です。
グロービスの社内ベンチャーに参画して1年が経ちました。今回はPOとTLという役割を中心にDevチームをどう運営してきたかをご紹介します。

グロービスのPO・TLとは

POとTLは同じ人や別の人などチームによりますが、わたしは4月にPO、5月にTLにアサインされました。

PO:Product Owner
 ・Devチームが採用するスクラムで定義されている役割で、職種としても定義されています
 ・プロダクト価値を最大化するためになぜ何をいつするかを判断します
TL:Team Leader
 ・チームメンバーをマネジメントする役割で組織図に表記されます。職位がマネージャーの必要はありません
 ・メンバーの強みを見つけパフォーマンス向上を支援し、チーム目標を達成するために、社内外の資源を活用したり障害を取り除きます

PO TLの定義

マネジメント引継ぎ時の状況

事業は立ち上げから2年経ったプレシードからシードの過渡期で、再編(Realignment)を必要としていました。

製品:MVPが仕上がりこれから機能拡張や改善をしていく段階
顧客:4月から検証パートナーだった数社がサービス利用開始
販促:5月にプレスリリースを行いサービスの正式販売を開始
体制:5月にBizDev1チームからBizとDevの2チームに分割
運営:6月にPOとTLとBizDevを兼務していた創業リーダーが退職

組織開発のステップ1~3

プロダクトの責任者を引き継いだあと、チームを統率していくために段階的に組織開発を行いました。

図1-参考)マイケル・D・ワトキンス:Picking the Right Transition Strategy

ステップ1

前任者の成功の持続(Sustaining Success)

創業リーダーの退職後、新任としてDevチームを円滑に運営するために、週次でメンバーと1on1をして困りごとや、やりたい事、なりたい姿を聴くなどして、メンバーの志向やチーム文化の理解に努めました。

1on1は業務委託のメンバーとも行いました。これは事業立ち上げからスクラムで開発してきたためで、環境が変わってもチームの一員として事業開発に向き合っていけるかを確認しました。

俯瞰してみると、シニアエンジニアを中心とした少数精鋭の体制でした。

ステップ2

組織の再編(Realignment)

コミュニケーションを密に信頼関係を築きつつ、3つの役割の再定義に取り組みました。

チームメンバーは引き継ぎ前の状態から半年で40%増、編成もBizがMarketingとSalesとCS/Opeの3チームに分かれました。

プロダクトもローンチ以降の機能拡張に向けてシニアエンジニアを中心とした属人的な開発の限界がみえ始めたので、改めてメンバーが各々の役割を知ることで協力し合えるよう、エンジニアだけではなくSalesなども含めたメンバー全員に説明しました。

PO:Product Owner
 ・
開発のWhy・What・Whenの判断
 ・技術的負債の受け入れと解消度合の判断
 ・プロダクトの成長や方向性などの戦略策定(PdM)
TL:Team Leader
 ・チームのWho・Whereの判断
 ・ステークホルダーマネジメント
 ・1on1やMBO、評価会議などピープルマネジメント
Tech lead:Devチームのもう一人のマネージャー
 ・エンジニアの生産性やスキルの向上
 ・短中期的な技術負債やリスクのディレクション
 ・中長期的なアーキテクトや技術選定などの戦略策定

モチベーションによる成長の加速(Accelerated Growth)

  1. グロービスは本務以外にリソースを20%使える制度があるので活用を推奨しました
    グループ貢献や、チームを跨ぐエンジニア間の連携が目的ですが、チーム内でスクラム外の技術検証や技術調査への取り組みも対象としました。 本務以外に業務時間を使えると喜ぶメンバーもいますが、巻き込み力と自律のケイパビリティがないと成果を出すことが難しい仕組みでもあります。

  2. POにチームの開発リソースを投じる全てのタスクの判断を集中させました
    グロービスには自由と自己責任という人事の管理方針があります。
    会社に与えられたフィールド(リソースやツールなどの経営資源)でチームのパフォーマンスを最大化できるよう、午前中を開発集中枠として会議NGをチーム内外に周知したり、リファクタリングもリファインメントで議論したうえでプランニングに臨むようにしました。

ステップ3

事業の再建(Turnaround)

役割を再定義したうえでチームへの導入を進めました。ここは事業立ち上げを牽引してきたメンバーの成果に感謝しつつ、事業が次の段階に向かうために、今後は属人的な貢献に依存しないようにしていきたいという意思を示しました。 そして、1on1をつうじたメンバーとの対話や、事業リーダーやSM、Tech Lead、他チームのリーダーと意見交換しながら、チームのケイパビリティにあった最善の開発手法に取り組んでいます。

プロジェクトの立ち上げ(Start-Up)

現在Devチームはパフォーマンスもあがり、サービスの機能追加、安定運用、機能改善に加え20%ルールを活用することで、中期の技術戦略や周辺サービスの検討、BizDevチームとの連携も行えるようになりました。 チームはアジリティと品質をバランスする難所を乗り越えたことで、より強くなったと感じています。

まとめ

図2-参考)リチャード・L・ダフト:Organization Theory & Design

事業立ち上げ期は創業リーダーが全権を担うことが多く、それがチーム内の意思統一や開発推進の大きな原動力になります。 ただ、社内事業はスタートアップと違い立ち上げた個人への投資ではなく、アイデアに対して資源を振り分けるという経営判断なので、関わるメンバーはアイデアを実現性と価値が高いものに昇華させることに専門性を発揮していく意識が大切です。

POとTLの兼務も同様に、プレシードからシードという事業状況において、コミュニケーションコストを低減し開発や投資の判断を早める利点があります。 また、社内事業としてリーダーが変わる度に方針が変わり現場や関係者が混乱するような属人的な営みは避けなければなりません。 これからも、持続的にプロダクト開発できるよう事業環境に応じた取り組みを続けていきます。

GLOPLA LMSは、仮説検証を繰り返しながら段階的に組織と開発をよくしていきたいと考えています。エンジニアの育成に携わっている方、開発組織を支援しているHRBPの方は、今後もGLOPLA LMS の動きを楽しみにしていてください!

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