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海外でのM&Aを考える(3) 〜 NEXT11国(フィリピン・インドネシア)でのM&Aデューデリジェンス(3)

 前回の(2)でパパママ企業しか選択肢がないと言う結論で、どうこのパパママ企業をソーシングするかと言うのを(3)で書きたいと思います。特に私の経験や実際に行ったことをベースに書きたいと思います(Confidential Informationなので特定されるところはボカすことをご容赦ください)。

  一般的に特に海外ともなればリスクもあるのでソーシングからFA(Financial Advisor)に頼むことになると思いますが、私の経験で言うと自分の期待以上の成果には至りませんでした(期待とは宝物企業を見つけることでした)。むしろ割り切って社内の説得のための看板だったり、自分の手間を省く作業のアウトソーシング先と捉えてお付き合いをしました。彼らのスキル不足というよりは、これらの国を専門的にやっており、特定業界のノウハウを持ち、かつ中小企業を狙うとなると彼らのノウハウがM&Aのプロセスを進めるノウハウくらいしかない(国内の大型から準大型のM&Aを幅広くやっているので、海外x特定業界x中小規模となると目線がそもそも合わない)。そう言った意味でよく一緒にお付き合いいただき、共に成長をした経験でした。

  さてターゲット企業の条件も概ね決まっていたのですが、ボトムアップとトップダウンのアプローチを試みました。ボトムアップは現地に入り込んで自分の人脈を活用しながら情報を得て企業情報(会社名と評判)を得てアプローチを行いました。一方、トップダウンは正攻法でFAの協力を得つつロングリスト作りをして評価をしつつショートリストに絞り込見ました。結論から言うとボトムアップの方が確実性は高くスピードも早かったです。

  ではボトムアップでどのようなことをやったかと言うことですが、私がいつもやる方法ですが最初に求人情報をネットで探します。今の時代、どの国もネットで求人を出すので企業名の情報はそこで得られます。少なくとも求人を出すのだから伸びている会社だろうと想定しました。概ねどの企業も売上は伸びているのでその仮説の方向性は間違っていませんでした。むしろ求人サイトを活用したトップダウン方式で作成したロングリストと企業のカバレッジは変わりませんでした。この求人サイト活用術は有効だと思います。あと大事だと思ったのはレファレンスです。いきなり訳の分からない外国人がやって来ても信頼されませんが、誰かの紹介ということであれば信頼度は高まります(これは世界共通でしょう)。ということで、誰か知り合いを見つけることが大事です。私はシンガポールにいたフィリピン人の知人経由で紹介を得て、そこから紹介の紹介を重ねてネットワークを広げました。結果としてショートリストに絞る前に既に相性の良さもお互いのスキルも解り合っている状態になっていました。

  一方、トップダウンでは企業情報を購入しようと考えたもののそもそも中小企業はデータが存在しない(多少の企業リストはあったが、カバレッジが低いので結局地道に企業を探さざるを得なくなった)。そしてカンファレンスの出展企業情報、大手企業の取引先企業(大手企業がやはりカンファレンスやパートナー企業リストを公開していた)を洗ってロングリストを作りました。そしてターゲット企業の条件に合うところを絞るというよりも条件に合わない企業にXをつけていったら手のひらほどの数の企業しか残らなかった。かつボトムアップで見つけた企業数社がみごと入っていた。そういった意味でボトムアップアプローチが出会い頭というわけでもなく、客観的にも外していないという証明ができました。

  ということで無事交渉も合意までこぎつけて本論のデューデリジェンス編を次回書きたいと思います。 

 (つづく) 

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