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diary

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#雑記

another world

another world

もう一人の自分が、「どこか」で暮らしている、という感覚になることがある。

都会の、古いマンションの12階。レースのカーテン。シンプルな家具。ベランダがあって。“わたし”はいつもTシャツとショートパンツを履いてる。髪は肩より少し長いくらい。軽くウェーブしている。棚の上には硝子の器にヒヤシンスが咲いている。レースのカーテンが風になびく。そこではいつも春と夏が続いていて、たまに一日二日、秋や冬が来る。

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夏の祭りのこと

吹雪の中で雪かきをしながら。夏に。なぜあの祭りが行われてきたのかを唐突に理解する。どのようにして発生し、どのようにして形を変えていったか。血が交わり世代が変わっていくごとに。脈々と。精霊送りと呼ぶには荒々しすぎる祭り。武者や鬼を模した極彩色の巨大な灯篭。最後には海に流される灯り。(流し雛、のことも思い出した)

同じ掛け声を繰り返し、トランス状態の若者が笛の音と共に踏み鳴らす舞踏。同時に体につけた

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最近のこと

最近のこと

懐かしいもの。竜の鼓動。野に吹き渡る風。羊飼いの角笛。水辺。水草の揺れる澄み切った水。熱い砂。紺碧の夜空。ウールにくるまって見る天の川。あたたかなお茶をくれるひとの笑み。湯気。花畑。果樹園。煉瓦の塀。鉄の柵の向こうに見える家。高く広い空。

かかりつけの薬局に行く途中で路地裏を歩いていくのだけど、古い住宅地の中になぜかぽつんと煉瓦が使われた元・雑貨屋さんみたいな外観の建物があって、いいな~と通るた

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