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デザイン学会第71回春季大会in福岡にて論文を発表!

デザインに関する学術的研究が集まるデザイン学会。今回の春季大会は九州の福岡(九州産業大学)にて開催されました。
今回私達グラグリッドからは2件の論文発表を、さらに三澤は1つの座長を担当しました。


デザイン学会とは?

1953年に設立された学会で、「会員相互の協力によってデザインに関する学術的研究の進歩発展に寄与する」ことを目的として活動している本学術会議登録・認定の学術団体です。大会は年に2回、春季大会と秋季大会の2回開催され、私達グラグリッドは、6/21(金)〜6/23(日)に開催された第71回春季大会に参加しました。

雨の中看板をたどり歩く

天気はあいにくの雨!
そして三澤は金沢から、川村は東京から。それぞれ飛行機に乗って現地で落ち合う形となりました。会場を目の前にして、学会初参加の川村はこのあとのポスターセッションのことを考えてドキドキでした…!

2つの発表をしました!

グラグリッドからは次の2つ論文が発表されました。

  1. ユニークな意味を発見する「発掘モード」の提案 〜分類による理解を手放し個人の感覚を刺激する意味形成の思考法〜(三澤直加、川村美月)

  2. 人間中心デザイン方法論の実践を通じた「患者さん理解」の視点獲得 〜患者さんの治療やウェルビーイングに貢献する新規事業・新たな取組の創出へ向けた、製薬会社による活動事例より〜(和田あずみ、彩木希、三澤直加)

1)は、意味形成の思考法の研究を推進してきた三澤が筆頭著者、川村が共同著者となり、これまで6年間実施してきたケーススタディと、思考モードについて発表しました。ポスターを掲示し、閲覧してくれる人と自由にインタラクティブに議論ができる「ポスターセッション」形式での発表です。

2)は、昨年プロジェクトでご一緒させていただいた小野薬品工業株式会社様(以下、小野薬品)との取り組みから、意識変容をまとめた発表です。小野薬品の和田さんが筆頭著者として口頭発表形式での発表を行いました。同じく小野薬品の彩木さん、グラグリッドの三澤が共同著者となっています。

本記事では、グラグリッドの2名で発表した「ユニークな意味を発見する「発掘モード」の提案 〜分類による理解を手放し個人の感覚を刺激する意味形成の思考法〜」をメインに発表の内容や、会場の様子などをご紹介していきます。

思考モードに関する提案をしました!

私達が発表した「ユニークな意味を発見する「発掘モード」の提案 〜分類による理解を手放し個人の感覚を刺激する意味形成の思考法〜」のポスターがこちらです。

ポスター発表を担当した川村

この発表は、約6年前からワークショップの中で取り入れてきた「意味形成」のメソッドを分析したものです。

商品企画や事業戦略を検討する場では、付箋をもちいたブレインストーミングと簡易的なKJ法(ちゃんとしたKJ法ではなく)を用いられることが一般的になっています。しかし、このとき分類の正確性や情報の粒度を意識してしまい、効果的な意味形成ができていないのではないか?という課題感を持っていました。「分類するぞ!」という気持ちが強くなっているように感じられます。私達はこの思考を「分類モード」と呼ぶことにしました。「分類モード」になってしまっては、「最高なアイデアを1案発案する」という結果には、効果的にアプローチできていないと考えたのです。

そこで、何かしら1つのアイデアや意味を見つけられれば良いと割り切り、個人の解釈性を楽しみながら探索を行う思考モード発掘モード」を理想的な状態と捉え、発掘モードになればユニークな意味を発掘することができるのではないか?と私達は考えました。

論文では、「発掘モード」で思考しようと試みた、4つのケーススタディと、そこで行われた、360度探索法という発想法の手順、さらには、「発掘モード」が発動する条件についての仮説を立案しました。

▼ケーススタディの一つが見れる、YOUTUBE「意味会議」

▼ケーススタディの一つがわかる、ワークショップレポート

実際に取り組んできた4つの事例として、小学校での共創デザインプロジェクトや、過去にYouTubeで配信していた「意味会議」、サービスデザインキャンプで参加者の皆様に体験いただいた意味を探索するビジュアライズ実験〜抽象画で意味を描こう!〜の活動を紐解いていきました。

発表内容の解説をしていくと長くなってしまうので、詳しくはこちらのポスターデータや、過去の活動をご覧ください。

ポスターセッションで掲示したポスター(要約版)

ポスター発表の様子はこちら!

ポスター発表には沢山の方にお越しいただき、後ろに行列ができるほどに。
説明しては質問に答えるうちに、あっという間に3時間くらいが経っていました。会場の様子を撮影する余裕がありませんでした……(ありがたいことですね。)

説明しながらヒントをもらうことも多かった

デザイナーや研究者、大学の先生や大学生など、多様な方々にお越しいただきました。そして皆様共通して、普段のブレインストーミングや簡易的なKJ法での思考が「分類モード」になっていしまっているという点に関して、大なり小なりモヤモヤを抱えているようでした。

私たちの提案をみて、自分でもやってみよう!という方が続出

人生初の学会発表をしてみて

実のところ、川村は人生初のポスター発表だったのですが、人の量と、みなさんの知的探求意欲に圧倒されつつも、なんとかやり切ることができました!

今回発表をして「創造的なアイデア発想が社内でできていないように感じて困っている。この思考モードを社内でも取り入れたい。」という言葉をいただきました。

現在の社会では、商品の機能性や便利さだけでなく、人生や日常生活に意味をもたらすものが求められるようになってきました。
そんな中で、これまでのやり方ではうまくいかないぞ。と多くの方が感じ始めているのかもしれません。私達の発表が、こういった思いを感じている方々の刺激になったようでとても嬉しく思います。

デザイン学会での他のみなさんの発表もとても刺激になりましたし、他にも発表したいことがどんどん脳内にあふれてきました。まさに学び合う場でした

今後も私達の活動や研究を発表し、みなさまと一緒に学び合っていきたいです!
がんばるぞ!

(川村)


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