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今すぐ「遊び食べ」をやめさせたい!

元テレビ局のアナウンサーで、NHKの「すくすく子育て」の司会も務めた天野ひかりによる連載です。
今まで5万人以上から相談を受けてきた親子コミュニケーションのプロが、実際によく相談される悩みをどうやったら解決できるか、自己肯定感を育てる会話のコツをお話します。

「だめ!」って言っていませんか?

食べ物を手でぐちゃぐちゃ混ぜたり、コップを床に落としたり、スプーンでお皿を叩いたりする、「遊び食べ」と呼ばれる行動をするお子さんもいますね。
これに頭を悩ませるお母さん、お父さんから、どうしたらいいのかとよく質問を受けます。

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もし、子どもたちとこんなふうに接していたら、残念ながら遊び食べは長引くかもしれません。

最初に「だめ!」と否定されると、否定された経験だけが残ってしまいます。まずは、子どもの「遊びたい!」という気持ちを受け止めることからスタートしましょう。

親にとってイヤなこと(この場合は、遊び食べをすること)だとしても、子どもにとっては、自分の気持ちに従った素直な行動なのです。だからその気持ちをまずは受け止めることが大切です。

こう言うと「じゃあ、遊び食べをさせたほうがいいのでしょうか?」と、真面目なお母さんほど、自分が我慢しなきゃ……と思ってしまうようです。

けっして遊び食べを推奨するわけではないので、安心してくださいね。
最初の一言目が肝心なのです。
否定の言葉から始めるのではなく、「遊びたいよね」と共感すること。
共感したあとで、ルール(ご飯は遊ぶものではないこと)を説明しながら(子どもの年齢によっては、言葉では理解できないので)その遊びの続きをすぐにおもちゃに持ち替えて、楽しみましょう。この順番が大切です。

この繰り返しで、子ども自身がまるごと認められたと感じられて、自己肯定感を育てることができます。
すると遊び食べもあっという間に卒業しますよ。

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OKマンガいかがですか?
お母さんお父さんからは、「遊び食べ」にしか見えない行為が、子どもの立場から見ると「成長」なのです。
つまり昨日までできなかった「こねる」が上手にできるようになって、それを楽しんでいるのですね。

例えばスプーンを投げる行為も、子どもにとっては、とても複雑な動きを制御できた成長の瞬間。スプーンを指で器用に持ち、腕を振りかぶって、ちょうど良い角度でスプーンを指から放す。これができるようになるから、投げることができるのです。
最初は、狙った場所に投げることも難しいのですが、繰り返すうちに、コントロールも良くなってきます。

遊びに見える行為も、子どもなりに工夫をして練習しているのです。
すごい力だと思いませんか? 「投げる練習をしなさい!」と言っていないのに、自分からすすんで練習しているのですから。

でも、スプーンは投げるものではないのも事実。ボールなど、投げてよいものに持ち替えましょうね。タイミングを逃さないことが大事です。
「だめ!」とやめさせるのではなく、ぜひ、お母さんお父さんだけは、その成長を見逃さずに、もっと練習したい気持ちを育てられるといいですね。

自分で工夫し、できるようになる喜びを、親に認めてもらうこと。それがやがて、工夫や努力をしながら、やり遂げられる力となります。

ごはんの前に◯◯してみたら?

遊び食べが始まってしまったら、子どもにとっては食事の終了を意味します。せっかく栄養バランスを考えながら作ったお料理。ちゃんと完食してほしいですよね。
でも無理に食べさせるよりも、お子さんを否定しないほうがこの時期は大切です。

「後でお腹すいた」と言って面倒な場合は、食事を捨てずにとっておき、もう1度出しましょう。

遊び食べがひどい場合は、もしかしたら、食事前の「遊び」が足りなくなってきたのかもしれません。遊びの時間を増やすのはもちろん、運動量の多い遊びや頭をつかう遊びを意識して増やすのもおすすめです。
たくさん体や頭を使うと、お腹も空いて、モリモリ食べるようになります。

そのためには、お子さんだけでなく、お母さんお父さんも一緒に思いっきり遊びに没頭して、そのあと一緒に楽しそうに食事をしましょう。
お子さんも「◯◯しながら」ではなく、1つのことに集中できるようになっていきます。
言葉で叱りつけるよりも、楽しむお父さんお母さんの姿を見せるほうが、案外早道なのです。騙されたと思って、一度やってみてくださいね。    マンガ:とげとげ。

■今日のコミュポイント■
「ダメでしょ!(禁止)ではなく、気持ちを認めて(共感)からルールを説明」

■プロフィール■
天野ひかり http://amanohikari.com
上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターの経験を生かし、親子コミュニケーションアドバイザーとして 講演や企業セミナー講師を務める。子どもの自己肯定感を育てるため自身で立ち上げた「NPO法人親子コミュニケーションラボ」代表理事、一般社団 法人グローバルキッズアカデミー主席研究員(https://www.gkids.co.jp/)。主な著書に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)
https://www.amazon.co.jp/dp/4801400256/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_PjrUDbXPE2P1Bや『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)などがある。

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