子どもが嘘をついた!親としてどう振る舞えばいい?
■どうしよう!子どもが嘘つきになっちゃった
今回のテーマは嘘について。先日、3歳のお子さんがいるお母さんから
というご相談を受けました。
お母さんは相当ショックだったようです。
健康のために牛乳を飲んでほしいと願うお母さんの気持ち、よくわかります。でも、嫌いなものを飲めないお子さんの気持ちも、私はよくわかります。
皆さんがこのお子さんだったら、どうしますか?
嫌いな牛乳を飲まずに済んで、お母さんのことも裏切りたくない。
この子にとって、その両方を解決するための折衷案が「嘘」だったのでしょう。
飲みたくないけど、お母さんや園の思いも汲んだ結果ではないかと思うと、優しくて頭のいいお子さんだなあと私は感心してしまいました(お母さん、ごめんなさいね)。とても3歳とは思えない成長です。
子どもの成長に合わせて、親も会話力をアップさせていけるといいですね。
まずは、NGマンガを見てみましょう。
■子どもが嘘をつくときって、どんなとき?
お子さんに嘘をつかれたことがわかったとき、親としては、嘘はダメだと教えたくなりますね。嘘をついたことを謝らせて、もう嘘はつかないと約束させたくなります。
でもその前に嘘をついた理由を考えてみましょう。
子どもが嘘をつくときの心理状態は成長とともに、6つに分けられると言われています。
6は絶対ダメな行為ですが、1〜5は自分自身を守るための嘘なので、親の言葉掛けで対応していきましょう。嘘をつかなくても自分を守れるように育てることで、6のような嘘をつくようにはならないと思います。そうすれば、6になることはまずないと思います。
子どもが嘘をつかなくて済む会話を心がけましょう。OKマンガをチェックしてみてください。
■子どもが嘘をつかなくなる言葉がけとは
嘘を正すより、この場合、解決策(代替案)を一緒に考えることが大事です。
なぜなら、この場合の本来の目的は、牛乳を飲ませることでもなく、嘘つきだと叱ることでもなく、カルシウムを摂って丈夫な体にすることだったはずだからです。
その本来の目的のために、親にできることは、
1 嘘をつかなくてもいい状況を作ること
本当のことを言っても叱られないことを実感させることから始めましょう。
この場合だと「園でも家でも牛乳を飲まないこと」を話しても叱られないことです。
「叱らないから、本当のこと教えて」と言われて、本当のことを言ったら、叱られた経験のある人も多いでしょう。だったら、また次も嘘をついてしまいそうですね。
「叱らないから、本当のこと言いなさい」は、恐怖を与えてしまうので、言うのはやめておきましょう。
代わりに、この場合、牛乳を飲む・飲まないよりも、子どもの健康や成長を願い心配していることを言葉で伝えましょう。そうすれば、そもそも嘘をつく必要がなくなっていきますね。
叱られるよりも、心配されるほうが子どもには伝わります。
2 叱られずに、対処法を一緒に考えてくれる存在だと体感させること。
この場合は、牛乳を飲めないと大きくなれないかも、と不安になる気持ちに対して、他の食品で補う方法があることを知って安心できましたね。
お母さんお父さんに正直に話せば解決策が見つかることを積み重ねていくことで、嘘をつかなくてもよくなります。
そのために、お母さんお父さんも本来の目的(この場合は、カルシウムを採って丈夫な体にすること)を忘れずに、子どもと一緒にそのための手段(牛乳だけでなく、小魚など)がいくつかあることを考えていきましょう。
■ある意味、嘘をつくことも成長のひとつ
嘘は自分を守るための手段なので、原因を解決せずに、嘘だけを禁止することは逆に危険だと思います。自分を守る手段がなければ、傷が深くなるからです。
それに私たち大人も、社交辞令やお世辞など優しい嘘をついて、コミュニケーションを円滑にしていることを考えれば、嘘は成長の証、そんなに心配する必要はないと思います。
ただ、ひとつ怖いのは、嘘をついているうちに、自分の本心を見失うことです。
どうぞ、お母さんお父さんには本心を正直に話すことで、子ども自身が考えを整理して、まとめていけるお手伝いをしたいものです。
もちろん、お母さんお父さんが子どもに嘘をつかないことが大前提ですね。
マンガ:とげとげ。
執筆:天野ひかり
上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターの経験を生かし、親子コミュニケーションアドバイザーとして 講演や企業セミナー講師を務める。子どもの自己肯定感を育てるため自身で立ち上げた「NPO法人親子コミュニケーションラボ」代表理事、一般社団 法人グローバルキッズアカデミー主席研究員。主な著書に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)や『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)などがある。