「2023年11月から始めた、脱ステロイド後の地獄とも言える生活 ④」

今聴いても色あせない、間違いなく昭和の名曲に変わりはない。この頃の玉置浩二は本当にサイコーだった。今聴いても曲の中に魂が籠められているような感じで胸に響いてくる。「安全地帯」が大好きで、私は思春期の時代に毎日のように聴いていた思い出の曲。あれから何十年も経って、自分も人生の折り返し地点まで来てしまった。健康は大事だとつくづく感じる。

さて、前回からどうなったか続きを書こうと思う。
大垣駅前にある皮膚科の先生はかなりの高齢の先生だと推察できた。私が生まれた年に岐阜大学の医学部を卒業して、その後に皮膚科を開業している。故にかなりの臨床経験を積んでいると思われる。開業当時からアトピー性皮膚炎にステロイドやプロトピックを使用するのは危険だと感じ、一切使用しない治療で今日までやってきたようだ。

ホームページを良く読んでみると、脱ステロイドの治療を希望される場合は、先生が若い時に書いた自費出版の著書を熟読してから受診してほしいと記されていた。多分、いちいち事細かに説明していられないのだと思われた。患者側が治療方針に同意できない場合や、先生のやり方に批判的な患者も少なからずいるからだ。脱ステロイドに関しては、その著書を熟読してから初診の受診予約をすることが前提だということのようだ。

私のことを心底心配してくれていた母は早速この皮膚科に先生の著書を買いに行ってくれた。母は先にそれを読みふけった。その次に私はそれを読んだ。先生が良いアドバイスをしたとしても、患者側がまったくそれを守らず不摂生や悪い食べ物を食べていれば当然治るものも治らない。患者側も自分の病気に対して勉強し、きちんと理解する必要があることが書かれていた。クスリの種類や強さ、食生活、着る物から使うもの、生活習慣など幅広く色々なことが書かれていた。本の最後には重度の患者さんの体験談が綴られていた。努力の末、完治した体験談がいくつか書いてあった。

本を読み終えると早速受診の予約をして、実際に診察を受けることになった。先生は70代とも思えるご高齢の女性の先生で、背中が少し猫背に曲がっていた。それでも現役で医者をやっているのはすごいことだと思う。
先生は第一声「大変だったね、よく頑張ったね。辛かったでしょ?」。
それだけで私は救われた思いがした。とても優しい先生だった。

そうそう、先生の著書にはあることが書かれてあった。
過去に使っていた塗りクスリや飲みクスリ、どんなものを食べているか、酒やタバコはやっているか、アトピーの病歴など、できれば事細かに紙に書いて持ってきてほしいということが書かれてあった。それによって治療方針の材料になるからだそうだ。例えば食べているものが悪いと治るものも治りにくい、着ている服の素材が化学繊維だと皮膚が痒くなり悪化する原因になるなど、そういう日頃の生活から悪い部分や原因を探るという意味もあるのだろう。ただ単にクスリを出すだけの拝金主義の医者とはまったく違うタイプの先生のように見えた。

先生は、「治るから大丈夫」と言ってくれた。著書にも「自殺でもしない限り必ず治る病気です」と書いてあった。脱ステロイドによる皮膚症状が酷くて辛くて、ステロイドに戻ってしまう人もいるらしい。しかし、ステロイドに戻ると更に酷くなる人もいる。どうせならもうそんな劇薬は使いたくない。月日はかかってもステロイドを使わないでも過ごせる身体になりたい。
前のコラムでも書いた通り、困った時の神頼みが通じたような気がした。私は本気で「助けてください、助けてください」と念じていた。その後、願いが通じたのか、この先生と巡り会うことができた。私を救ってくれるのはこの先生に違いないと思った。私にはこの先生が神様に見えた。

私は受診する前にノートに事細かに、憶えている限りのことを書き出して持参した。先生はそのノートに書いたこと全てに目を通してくれた。「ここまで細かく書いて持って来てくれた患者さんはあなたが初めてですよ」と言ってくれた。初診で身体全体を診た後、多くのアドバイスをいただいた。

皮膚はタンパク質でできているから、野菜よりもとにかくバランスの良い多くの食材からタンパク質を取るようにと強く言われた。そして一枚の紙を私に渡してくれた。そこにはタンパク質を取りやすいオススメの献立が書かれていた。先生は栄養学にも精通しているようだった。

< 朝 >
・卵
・魚(ツナ、かにかま、はんぺん、さつまあげなど)
・ヨーグルト(フルーツ、きな粉、酸っぱくて食べにくい場合は+ハチミツ)※食べ過ぎるとお腹が緩くなる、乳ガンの原因にもなるので注意
・味噌汁(豆腐、肉、あさり、わかめ、なめこ、オクラ、人参、油)
・白米(大麦)、のり

< 昼 >
・肉
・大豆(枝豆、厚揚げ、がんもどき、油揚げ、蒸し大豆)
・野菜(サラダ、温野菜)、炒め物(ピーマン、人参、きのこなど)
・白米(大麦)

< 夜 >
・魚
・大豆(納豆は一日1パック夜のみ)
・野菜(味噌汁、根菜の煮物 ー 人参、ごぼう、こんにゃく、大根、切り干し大根、鍋やおでんなど)
・白米、のり

こんな感じで書かれてある。母はそれを参考にしながら、毎日バランスの良い食事を作ってくれた。本当に感謝しかない。
そして、「ビオチン」というビタミン剤と、痒くて眠れないので「サイレース」という眠剤を処方してくれた。眠剤は依存しやすいので、1回に1錠を半分に割って飲むようにと言われた。夜はとにかくぐっすり寝るようにと強く言われた。不摂生はダメだと。

2週間分のクスリを出され、まずそれで様子を見て、また2週間後に来るように言われた。半信半疑だったが、先生の言うことを信じるしかない。私の神頼み「助けてください、助けてください」は天に通じた。先生が神の使いのように思えた。何度も何度も礼を言って初診を終えた。私には少し希望の光が見えた気がした。母も少しホッとしていた。入院にならないか冷や冷やしていたが入院にならずに済んだから良かった、ここの皮膚科で良くなるのだと少し安心していた。お母さん、心配ばかりかけてゴメンよ。