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妊娠出産が文字通り命懸けだった話

はじめに

この体験記はとても個人的なもので、あくまで記憶が新しいうちに、
自分自身が感じたことを残しておきたい、という思いで書いています。
妊娠出産は多くの人が経験することである反面、とてもデリケートなものであることも理解しています。そして人それぞれ全てに異なることなので、必ずしも「絶対」が無いということも。
私の中で、妊娠出産はかなりハードな体験で、生きてきた中で一番の辛さと喜びを同時に味わうものだったと振り返ります。

それ以前の不妊治療については書きたくもないほど辛く、先の見えない日々の中で、家族間の意見のすれ違いも多く話し合いに話し合いを重ねて、心も折られ、何度も闘うのを諦めたくなるほどでした。
なので体外受精で無事に妊娠判定を受けた時はまさに、長い夜が明けたような心地でした。

大きめの子宮筋腫を抱えてのハイリスク分娩だったこともあり、結局それからもひと時も安心できる時などは無くて、いわゆる安定期と言われる時期を過ぎても、妊娠の話をしたのは中期以降に会った方と、直接影響のある仕事関係の方のみでした。

子宮筋腫変性痛

18週目で恐れていたことが起こりました。
子宮筋腫が変性痛を起こして10日ほど入院することになったのです。
痛み止めも効かない激痛に死にたくなりました。
助産師さんい曰く、人によっては陣痛よりも痛い場合があるとのこと。
生理痛を重くして、内臓をぎゅうぎゅう搾られているような感じ。
CRPという炎症反応の数値がとても高くなって、さらに元々あった貧血の数値もひどくなっていて、強制入院でした…。
抗生剤と痛み止めを点滴して過ごす日々でした。 
でもその頃に初めて感じた胎動に、とても励まされたのを覚えています。

そして出産へ


退院後、再び変性痛がぶり返すことは無く、
(一度変性すると、再び痛むことはほぼ無いらしい)
比較的穏やかに妊娠後期を過ごすことができました。
結構ギリギリまでお出かけしたり、活発に動いていたと思います。

40週目が近付いたある日の早朝、陣痛らしき痛みを感じていたのですが、
上述の通り変性痛での強い痛みに慣れていたせいか、まだ耐えられる、
まだ平気だろうとのんびりしていました。
夜になって陣痛の間隔が短くなってきたので病院へ電話をしたら、
すぐに来てくださいとのことで向かい到着すると、
既に子宮口数センチ開きかけているということで、すぐさま入院となりました。

お産については無痛分娩の予定だったので、直前までかなり余裕をかましていました。
が、まさかの麻酔注入後に全く効かないという不測の事態となり、絶望的な気分のまま自然分娩へと移行することに…。

数分おきに来る骨をへし折られるような激痛に一人で耐え、ようやく子宮口が全開になって助産師さんの声に合わせていきみ始めるも、全く頭が出てくる気配は無く、人工破水をさせ、さらにそこから6時間近くいきみ続け、最終的には吸引分娩となりました。

"その"瞬間についてはもはや、記憶から抜け落ちています。

麻酔科、産科 、新生児科…10名を超える医師や助産師さんたちに囲まれていたのは覚えています。
例えようの無い痛みと苦しさ、圧迫感の中での、先生方と赤ちゃんと私の共同作業でした。
吸引器具による裂傷も深く、1.5L近い出血多量と長時間分娩による酸欠、40℃の高熱で意識朦朧状態の私。
後処置も長く、1時間半近く縫合されていたように思います。

赤ちゃんも心拍低下から容態急変、産後直後の産声は無く、アプガースコアは0点。
重症新生児仮死と診断され即座にNICUへ入りました。
(奇跡的に5分後のアプガー数値は8点と良好で、20分後には産声を上げてくれました)

一時はどうなることかと思い、祈るしかない日々でしたが、先生方の懸命な治療の甲斐あって、母子共に無事に退院できて、こうして自宅で新年を迎えることができました。

先日一ヶ月健診も終えて、成長著しく、後遺症の心配なども無いそうで、本当に本当に安心しました。

大袈裟でなく、妊娠出産を通して身体、精神、時間感覚、社会や物事への視点、関心、価値観全てが激変しました。
お産は命懸けというのは、嘘ではないです。
世の中のお母さん全てを心から尊敬します。

私はというと、一ヶ月近くほぼ寝たきりで、その後も回復に時間がかかり様々な面で心身共に削られていましたが、家族の支えと我が子の笑顔に助けられて、今ではだいぶ元気になりました。
圧倒されるほどの力強い泣き声が、今この子が元気に生きている証で、何よりも愛しいです。

すでに産後もトラブルの見本市?!というくらいに、腱鞘炎(これは産前から)、乳頭亀裂、白斑、乳腺炎、痔核、裂肛、等しんどすぎて泣いていますが、(これが本厄の力か)、今しかない大切な時間をしっかりと育んでいきたいと思います。

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