愛の沼

そこへ堕ちたのは彼なのかそれとも…

私の全てが欲しい
彼はそう言った
私自身はもちろんのこと
私にまつわるすべてのもの
過去も現在も未来も
私から出る全てのもの
体液すべて、血も汗も涙も
にわかには信じ難いが排泄物や吐瀉物までもが欲しいと言った
君のすべてを愛しているから
君のすべてを自分の中に欲しい、と
一つも取り残したくない、こぼしたくない
どこにも行かせない、と

さらに彼は
一生消えない傷をつけて欲しいと言った
本当は君にもつけたい
僕自身を刻みたい
そして傷口から溢れ出る君の血を飲みたい
痛みで泣くならその涙を飲みたい、と

抱き合うなら奥の奥まで
朝も昼も夜もずっと繋がって離れたくない
汗と体液が混ざり合って、溶け合っても
まだ足りないくらいに、完全に一つになりたい
君の全てを飲み込んで
君に僕のすべてを注ぎ込んで
そのまま二人、呼吸が止まるまで溺れていたい

離れるならもう死にたい、と言ったら
だめだそれなら君を殺して僕も死ぬ
一人では逝かせない
一人では苦しませない
逝くときは僕も一緒だ、と
もしも先に君が逝ってしまったのなら
その肉体を、血も肉も内臓も、骨の全ても僕が取り込んで
そしてすぐに君を追いかけるよ
冷たいお墓になんて入れさせやしない

愛してるの言葉では足りないほどに愛してる

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