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2)コエンザイムQ10はミトコンドリアの呼吸鎖で働くビタミン様成分

体がみるみる若返るミトコンドリア活性化術2

ミトコンドリアを活性化して体を若返らせる医薬品やサプリメントを解説しています。

【体内のビタミン様成分の産生能が加齢に伴って減少する】

 私たちが生きていくためには、食物からの栄養素の摂取が必要です。脂肪、糖質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを五大栄養素といいます。この5つの栄養素のどれが不足しても、体の正常機能が障害されます。

ビタミンは体の中で三大栄養素(脂肪、糖質、たんぱく質)の代謝を助ける働きをしています。多くの酵素反応や遺伝子発現に必須の働きを担っています。脂肪・糖質・たんぱく質のように、細胞の構成成分を作ったり、エネルギー源になるものではありませんが、それがないと体という機械がスムーズに働かない、いわば潤滑油のような働きをしているのです。

ビタミンは水に良く溶ける「水溶性ビタミン」と、水にはほとんど溶けず油に溶ける「脂溶性ビタミン」に大別されます。水溶性ビタミンには、ビタミンB群(ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)とビタミンCが含まれます。脂溶性ビタミンにはビタミンA、D、E、Kがあります。

ビタミン類は細胞の働きに必須であり、不足すると様々な欠乏症を引き起こします。

ビタミンは体内で合成できないので、食品から体内に取り入れるしかありません。食事からの摂取が不足する場合には、サプリメントで補う必要があります。


ビタミンと同様に、酵素反応や遺伝子発現に必須な働きを担っている体内成分の中には体内で必要量が合成されるものもあります。

例えば、コエンザイムQ10、アルファリポ酸、L-カルニチン、アセチル-L-カルニチンは食事から摂取する以外に体内でも合成されています。体内で必要量が合成できるのでビタミンには含まれませんが、ビタミンと類似の働きを担っているので、ビタミン様物質と呼ばれます。

ビタミンDは体内で生成されますがビタミンに分類されています。

体内で合成されるビタミン様物質の多くは、加齢とともにその産生量が低下します。ビタミン様物質の体内量が減少すると、さらに細胞や組織の機能が低下して産生量がさらに低下するという悪循環を引き起こし、体の老化が促進されます。

加齢とともに減少するこれらの体内成分を補えば、この悪循環を断ち切ることができます。

 つまり、体内で合成されているビタミン様物質は加齢とともに減少するので、ビタミンと同様に食事やサプリメントで補うことは老化予防や若返りに有効と言えます。


【コエンザイムQ10はミトコンドリアのATP産生を高め、活性酸素を消去する】

 コエンザイムQ10(Coenzyme Q10)は別名ユビキノン(Ubiquinone)やユビデカレノン(Ubidecarenone)とも呼ばれ、体内で作られる物質です。CoQ10(コーキューテン)と略されて呼ばれています。かつてビタミンQと呼ばれたこともありますが、動物体内で合成することができるためビタミンではありません。


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図:コエンザイムQ10の化学構造


ミトコンドリアでATPを産生する電子伝達系において電子伝達体の一つとして働きます。したがって、細胞内で不足するとミトコンドリアでのATP産生が低下します。さらに、活性酸素やフリーラジカルを消去する抗酸化作用があり、細胞や組織を酸化傷害から守る効果があります。

ミトコンドリアでのATP産生を高める効果と抗酸化作用があるため、体力増強と抗老化作用があります。

ネズミを使った実験で、CoQ10を多く摂取させると若さを永く保ち、年をとっても活動性が落ちないという研究結果が発表されています。CoQ10を与えられたネズミは与えられないネズミより長生きだという研究報告もあります。

ビタミンEの抗酸化力を再生する効果があるので、ビタミンEとCoQ10は抗酸化作用において相乗効果があります。

免疫細胞のミトコンドリアの働きを良くするので、CoQ10を投与すると、抗体の産生量や、マクロファージやTリンパ球の数や活性が高まり、感染症に対する抵抗力が増強することが知られています。

CoQ10は心筋細胞や骨格筋のミトコンドリアでのATP産生を高めるので、心臓機能を高めると同時に、運動能力の向上にも有効です。個々の細胞が活性化すると体全体の新陳代謝も促進されます。


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図:ミトコンドリアで糖質・脂質・タンパク質を分解してエネルギーのATPを生成する(①)。ミトコンドリアでは酸素を使ってATPを産生する過程で活性酸素が発生する(②)。ATPの産生が増えると心臓(③)や骨格筋(④)の働きが良くなり、運動能力や持久力が向上する(⑤)。コエンザイムQ10(CoQ10)はミトコンドリアの酸素呼吸を高めATP産生を増やす(⑥)。CoQ10は抗酸化作用があり活性酸素によるミトコンドリアの酸化傷害を軽減する(⑦)。これらの総合効果によって体の若返り、減量、美容効果を発揮する(⑧)。


CoQ10はアセチルCoAという物質からコレステロールと同じ経路でつくられていきます。血中に存在するコエンザイムQ10の約60%は体内で合成されたものに由来すると考えられています。CoQ10は体内でつくられますが、その量は20歳前後をピークにして加齢とともに減少してきます。
 
CoQ10は肉類や魚介類やナッツ類などの食品に含まれていますが、食事からの摂取量は1日5mg程度と言われています。

つまり、加齢に伴う体内量の不足を食事で補うには、現実的ではないほどの大量の食材を食べなければならず、サプリメントで摂るメリットは大きいと言えます。


日本ではかつてうっ血性心不全の治療薬として医療用に使用されていましたが、2001年から健康食品や化粧品への利用が許可され、サプリメントとして購入できるようになりました。

医薬品としては、「基礎治療施行中の軽度及び中等度のうっ血性心不全症状」の効能・効果で、1日30mgの用量で承認されています。加齢と共に体内産生量が低下するので、健康増進や抗老化の目的でサプリメントで補給する意味は十分にあります。

 サプリメントとして摂取する場合の服用量についてはいろんな意見があります。健康増進や抗老化やがん予防の目的には1日100~200 mgを推奨する意見もあります。進行がんの治療では1日400 mg以上を使っている報告もあります。 

CoQ10は体内で産生される補酵素であり、かなりの大量を服用しない限り副作用はありません。決められた範囲内で服用すれば重大の副作用は無いと言えます。

 しかし、CoQ10はワーファリン(血液凝固を弱める薬)やインスリン(血糖を下げるホルモン)に対する体の反応を変える可能性があります。糖尿病の治療におけるインスリンの必要量が低下します。また、胎児や幼児に対する影響は十分に検討されていませんので、妊娠中や授乳中の方は、服用しない方が良いと思います。


体がみるみる若返るミトコンドリア活性化術 記事まとめ

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