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弁護士ばんぷうの離婚裁判百選

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2022年12月の記事一覧

離婚裁判百選㉖番外編ーローマ法からの示唆

離婚裁判百選㉖番外編ーローマ法からの示唆

結論、できます。実際にこれを実現した事例を担当したことも多くあります。多くは、

 結論、浪費分は本来あるべき夫婦財産を算出する過程において考慮されますので、財産分与で考慮をすることができます。しかし、実際にどこに財産があるのか、本当に浪費はこれですべてなのか、など、不安は残ります。
 しかし、それにもまして旦那側の抗弁内容は、感情的にも受け入れられるものではありません。法律学の観点からも、実は根

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離婚裁判百選㉕婚姻費用の終期を短くする方法?

離婚裁判百選㉕婚姻費用の終期を短くする方法?

婚姻費用の終期? 下級審の裁判例には、1年間に限定して分担を命じる事例や、5年に限定して支払金額を決定した方法を採用したものがあります。いずれも、昭和時代のものではありますが、いっぽうで、「終期を定めないほうがむしろ現実の事態に適応するものであり、かつ制度の趣旨にもかなうものというべきである」と判示する事例も同じ時期に散見されています。しかし、これらの事例はいずれも、平成8年に夫婦関係の破綻が生じ

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離婚裁判百選㉔番外編ー生殖にとっての責任及び婚姻の承認を読んで

離婚裁判百選㉔番外編ー生殖にとっての責任及び婚姻の承認を読んで

Scott FitzGibbon【ボストン大学ロースクール教授】「生殖にとっての責任及び婚姻の承認〔訳:鈴木伸智〕という論文(『21世紀の家族と法小野幸二教授古稀記念論集』768頁以下(法学書院,2007)を読、んだ。
 著者は、一男一女の婚姻が、生殖にとって正当であるに違いないと結論を導いています。
 

 論者は、婚姻以外の形態を排斥する趣旨ではなく、生殖の関係に最も適切な関係は婚姻であると位

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