Record.26 ヨーロッパ楽団の記憶
ドリームマスター達との前世がヨーロッパ楽団だと知ってから、また色々起こり始めた。
その頃、なぜか何年も前に見た夢が2つくらい頭をよぎるようになった。
絶対見た夢のはずなのに、この2つの夢はどの夢日記を探しても見つからなかった。
一つは、天井が半円形にガラス張りになっている駅にいて、外では戦争が行われていて、爆撃から逃げている夢。
途中で狂った兵士に出逢って血眼で『みんな死ぬんだよおおお~!!ぐへへへ』って言われた。
その兵士は日本兵みたいな格好だったので、起きて広島出身だったのもあり『原爆』かな?と勝手に思っていた。
2つ目の夢も天井が半円形のガラス張りの駅にいた。
真っ黒い汽車が停まっていて汽車から黒いハットに黒いコートの人達が降りて来ていた。
私はホームに立っていて、その人達を見ていた。
そしてやっぱり、なぜか『戦争をしている』というのが分かった。
頻繁にこの夢を思い出すのが自分で不思議だった。
その時期に、ノーザンの皆が東京でライブをすると言うので見に行った。
会場のライブハウスの横にあるレコード屋さんに森さんのサインが飾られていた。
森さんもここでライブしたんだなあと、嬉しく思った。
そこでノーザンの皆もライブするのが何だか感慨深かった。
やっぱり、繋がっているんだなあと。
そして、ライブが終わってノーザンのメンバーと話している時に私が何となく、
『外国でもライブして欲しいです。絶対ウケますよね』って言うとピアノ担当の女の子が、
『そうなんです。うちらいつかヨーロッパでライブしたいねって話してて』
と言ったので、ドキリとした。
帰りの駅で、ベンチに座って時間潰している時に駅の天井が半円形にガラス張りになっている箇所を見つけた。
その天井を見ながら、自分の心の奥が一瞬でゾヨめいて目が離せなくなった。
あの夢の駅に似てる………なんかザワザワする……なんかある…。
自分の向こう側からくる感覚の正体を掴みたかった。
東京から帰って、初めて私は何となく『ヨーロッパ』について調べる気になった。
私は何を隠そう歴史とか地理とか社会がかなり苦手で、ヨーロッパが一つの国だと思っていたくらいやべぇ奴だ。
だから、ヨーロッパを知ろう!と本屋に行き、『ヨーロッパの歩き方』の本を手に取り広げてみた。
するとページを広げた一発目に飛び込んで来たのは、ドイツのフランクフルトの駅の写真だった。
そこに映っていたのは半円形のガラス張りの天井の駅。
夢で見た駅と全く同じ光景だった。
思わず一回本を閉じた。
イントロなしでいきなりサビじゃん。
漫画みたいな流れにおののいた。
そしてまた本を開いた。
ヨーロッパ………ドイツ………ドイツにはお城も沢山あるのか。
平松さんはヨーロッパ楽団はお城でも演奏してたって言ってたな、、、。
ノーザンのジローさんの歌の言語は発音がドイツ語に似てる……。
絶妙に繋がるけど自分ではハッキリ確信できない!
うおお~~~~~!!!悶々としてきた!!
でも、歴史とかをさらに調べるほど私はマメでもなく、勉強嫌いの本能には勝てず、悶々としながら家に帰った。
追い打ちをかけるように変な夢を見た。
女の生き霊にとり憑かれていた男性を助けたあと、
誰だか分からないけど、メッセンジャー的な存在がいて『宇宙人』であることについて、その男性と共に色々説明を受けていた。
記憶の思い出し方とか、故郷の星を見せられたり、宇宙人の姿を見せられたりした。
なんかタコみたいな真っ白い宇宙人だったのを見せられて、
『えー!!あたしこんなんだったん?!』とショックを受けたりしながら説明を受けた。
一緒にいた男性は同じ星から来た人のようだった。
とにかく白い宇宙人がいっぱいいた。
そして起き間際にハッキリと、
『あなたはアーリア人なんだよ』
と言われた。
起きてからすぐアーリア人が気になり、
『アーリア星人でもいるんだろうか……』と、パソコンで調べてみた。
すると、ヒトラーの文献が出て来た。
『アーリア人』というのは確かに存在していたけど宇宙人とは関係ないし、正直ヒトラーがらみのアーリア人の文献はよく理解できず全くピンと来なかった。
でも、『ヨーロッパ』と『戦争』というキーワードが繋がるので何かあるんじゃないかと、平松さんにまた電話で霊視してもらうことにした。
最近思い出す夢の内容から、アーリア人の夢まで話してみた。
平松さんは、最初私の話を聞きながら『前からなんか、ポーランドが出てくるんだよねぇ……』とブツブツ言っていた。
夢の中の駅にいた黒いハットと黒いコートの人達を見た話をした時に、『あー!!分かったー!!』と平松さんは叫んだ。
そして以前より、詳細が分かった。
ヨーロッパ楽団について、以下まとめると………
平松さん曰く、楽団はギリギリまで演奏していたらしく、
『迫害の中よく皆バラバラにならないで音楽やっていたね………プロ魂を感じる』
と言っていた。
私はヨーロッパ楽団と言われて勝手にクラッシックの楽団だとイメージしていて余りシックリ来ていなかったのだけど、
平松さん曰く楽団は見たことないような色々な楽器持っているし、20人くらいいて踊る人もいるし、仮面つけた人もいるしサーカス団みたいな雰囲気もあるとの事だった。
『クラッシックではないよ。凄く面白い音楽。私にこれを表現する語彙力がないなあ…』
と平松さんは言っていた。
とにかく優秀な楽団だったらしい。
のちにユダヤ人の音楽を調べたら、『クレズマー』というユダヤ人の音楽があるのを知り、聞いた時に非常に腑に落ちたのだった。
マイムマイムもクレズマー音楽だと知り、小学校の時、マイムマイムを踊る時になぜかやたらテンション上がって踊ってたのを思い出した。
ドリームマスター達の音楽性からも、クレズマー音楽はしっくり来た。
そしてこの詳細が分かった後、ドリームマスター達の音楽にそのヨーロッパ楽団の記憶が散りばめられているのに気付いた。
四ツ井さんはバンドが売れる前に出していたコンセプトアルバムは、まさにそのヒトラーの年代から現代にタイムスリップして来てロックスターに生まれ変わったという内容の歌から始まっていたのだ。
年代をハッキリ歌っていてビックリした。
そして四ツ井さんはそのアルバムのジャケットでドイツ兵を匂わすような軍服を着ていたし、売れてからも何曲か戦争の歌を歌っていた。
森さんのバンドの曲で戦争が匂う歌はないけど、一曲だけヨーロッパ楽団がアウシュビッツで死ぬ時の描写のような歌詞があった。
ノーザンパイクは、もうヨーロッパ楽団『まんま!!』だった。
格好もみんなユダヤ人みたいだし、楽曲もクレズマーみたいだし、やってる事もヨーロッパ楽団に一番近かった。
だからもはや、ノーザンは前世の記憶あるんじゃないか?!と疑ってしまうほどだった。
私がアウシュビッツの事を知り、思い出した事があった。
私は小学校の時、社会見学でパン工場に行った時にレンガでできた大きな窯の中に入った事があった。
最後尾にいたにも関わらず、その中にクラス全員で入った瞬間に息苦しくなり怖くて怖くて涙が止まらなくなった事があった。
近くにいた男子に『なんで泣いとるん?!』と笑われたが、自分でもどうしようもない苦しさを感じたのを今でも覚えている。
その発作みたいなものはその時の一度だけ。
なぜあの時だけ自分がそんな風になったのか長年の謎だった。
あとレンガの建物を見ると変な気分にもよくなっていた。
アウシュビッツを見た時に、それらはこの記憶から来ていたものだと確信した。
そして初めてノーザンのライブを見た時に『世界の終わり』という曲で、『戦争は嫌いや』と泣きながら歌っていたジローさんを見ていた時に砂地の荒野の映像を見た意味も分かった。
まさに、アウシュビッツの映像だったのだ。
《アウシュビッツ、ユダヤ人迫害とは》
それから、ノーザンのライブを見る度に『ノーザンは前世の記憶があるんじゃないか?』という疑いが止まらなくなった。
ノーザンがリリースした新しいアルバムは、ヨーロッパ楽団の記憶の匂いが濃厚すぎて、いてもたってもいられなくなった。
私の窓口であるメンバーのリョークさんとお茶をする機会があったので、その日にヨーロッパ楽団の話をしてみようと決心した。
『今から想像もつかない話をします……頭がおかしいと思っても良いので聞いてください』
そう言って、17歳から起きたドリームマスター達の現象からヨーロッパ楽団に至るまでの一連を話した。
リョークさんは驚きながらも、時々頭がバグる私に『ゆっくりでいいよ。大丈夫』と優しく真剣に聞いてくれた。
話し終わるとリョークさんは落ちついた感じでこう言った。
『今の話は信じる信じないじゃなく、僕は運命として受け入れますよ』
キッパリと、そう言った。
そして続けてこう言った。
『僕ね、昔から自分の前世はヨーロッパ人って人に言ってたんですよ。しかも僕の一番好きな映画「シンドラーのリスト」なんですよ。本当に。ヤバいでしょ?』
思わぬ反応と言葉に驚いた。
………………( ̄□ ̄)
ほとんどの人はこの話をしたら、私の頭がおかしいと思うだろう。
でも前世で一緒だった人が共感してくれるなんて、これ以上幸せな事はないなと思った。
私は思わず成仏しそうになった。
最初、四ツ井さんと森さんの正体を伏せて話していた。
絶対信じてもらえないだろうと思っていたからだ。
でも最後に誰だか聞かれたので、恐る恐る話すと私の心配をよそにリョークさんは普通に受け入れていた。
リョークさんは森さんのバンドが売れる前に、ノーザンも出てるライブハウスで森さんバンドのライブを見た事があるらしかった。
『いつか、対バンできたら凄いですよね』と二人で話した。
『この話、他のメンバーにもしていいの?』と言われ、
『だ、大丈夫ですかね?大丈夫そうな人にリョークさんの判断でしてもらって良いですよ。でもジローさんは記憶ありそう………』
そう言うと、
『そうだよねぇ。まんまだもんねぇあの人……。ジローさんには良かったら実さんから直接話してあげて欲しいです』
そう言われて、ジローさんとはまだまだ気軽に話せる空気ではなかったので『ハードル高いですねぇ……』と、尻すぼみしたのだった。
それでも数ヵ月経って、実は家も近いジローさんとライブの帰りに一緒になったので、『今しかねぇ!』と勇気を振り絞って『ちょっと話を聞いてもらえますか』と言ってみた。
『いいですよ』と言ってくれたジローさんに話を聞いてもらった。
長い話を無口なジローさんが横で黙って頷きながら聞いてくれていた。
そして、ジローさんは全ての話を聞いたあとこう言った。
『僕が作る曲に無意識的に出現するいろんな国の雰囲気や言葉、郷愁は実さんの言う前世の記憶から来ているのかもしれませんね。
間違いなく言えることは僕個人から出てくるものなんです。
物をつくるという事は自分を探す旅のようなことかもしれませんね』
ヨーロッパ楽団のみんなは無意識の世界で、音楽を通して繋がっている。
私の魂にとってヨーロッパ楽団の記憶は『郷愁』だった。
みんながアウシュビッツで死んだのは悲劇だけど、仲間と過ごした一番楽しい音楽人生だったのかもしれない。
その仲間の人達だった人の音楽で今の私の人生は救われている。
これだけ繋がっても証明しようがないけど、真実は目に見えるばかりじゃない。
これはとにかく素敵な事が起きていると思った。
だけど、私は純粋な疑問があった。
それを平松さんに見抜かれた。
『なんで自分だけ凄くないのかって思ってるでしょ?』
そう言われて、ドキっとして正直に言った。
『そりゃ思いますよ~。私だけ音楽やってないし……みんな凄い人ばっかりですけど、私めっちゃ普通だから(笑)』
そう言うと平松さんは言った。
『そうじゃないの、実さんは実さんでやらないといけない事があるんですよ』
それが何なのか教えてもらえぬまま、この奇妙な物語(人生)は思わぬ方向にどんどん向かうのだった。
●森さんへのアクション
私はある日、森さんに手紙を書く事を思い付いた。
夢の話や不思議現象、※黒いシャツのエピソードなどを書いて送った。
そして、私は直感でこう思っていた。
(森さんが手紙を読んだら、ライブで黒いシャツを着るはず)
森さんはここ数年、白いシャツがトレードマークになっていて、私が黒いシャツを着たのを見たのは本当にあの日だけだったのだ。
手紙を書いて以降、初めての大阪でのライブがあった。
SEが流れてきてステージに現れた森さんは…………
黒いシャツを着ていた。
森さんが手紙を読んだ事を確信した。
龍子ばあちゃんにも話すと、
『うん。確かに手紙はうけとったね。黒いシャツはインスピレーション』
『へ、変なやつと思われましたかね?前世の話とか』
『いやいや、前世とかの話をしてもあの子もそういうの持ってるからね。次は何を言ってくるんやろうなと思ってるよ。時々また手紙出したらいいよ』
それから私は数年の間にぶっ飛んだ手紙を何度か森さんに送った。
私は森さんに会うとしたら森さんが数年先にソロ活動を始めた時ではないかなあと漠然と思っていた。
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