ある日の駅で
真冬に半袖で路上ライブしてる人がいた
ギター本 力強いけど優しい音色
毎日の追われる日々のことを思った
その時 立ち止まって聴く余裕はなくて
でもずっと心に残り続けた 残り火のように

2年が過ぎた 明日は雪が降るという寒い日
街のあちこちには休業中の張り紙
ほとんどの人がいつも以上に急ぎ足で歩く
私もその一人 急いでいた
その時 あの人の路上ライブが聴こえた
一曲 足を止めて聴いた。
他に周りには誰もいない。急にドキドキした
足があの人に向かっていく

「すみません、どうしてもお伝えしたいことがあって」そう言ったきり言葉が出てこない
ほとんど目を逸らしていた私の目をあの人はずっと真っ直ぐ見ている
「2年前にとてもつらくて。その時ここで歌を聴いて胸に沁みました。でもその時私はなにも言えなかった」一気に早口で話した

「勇気を出して伝えてくれてありがとう。そういう言葉があるから明日からまた頑張れる」
それからあの人とグータッチして別れた

ほかほかほかほかとこみ上げるものを抱きしめて 短くてステキな時を噛み締めながら
いつもの電車に乗りました

2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します