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詩)不法な人間なんて いない〜政治が人を殺すとき

「私たちの骨には意味がある、砕かれた骨片の一つ一つ〔私たちの一人一人〕を集めれば全体が蘇るということを、世代を通して物語ってくれるところだから。」
長い刑務所生活、鎖に繋がれた年月、他人との接触は人間的な暖かさではなくひたすら暴行と虐待を意味した毎日、手を後ろに組め、ニガー。壁の前に立て、ニガー。キンタマをもちあげろ、ニガー。その目つきは何だ、殺してやるぞ。怒鳴られ、脅され、痛められ」
「私の黒人としての命がどんなに大切なものであるか、私に語り続けた。それが私の父。彼の骨と血と魂、その全てがここにある。その棺を覆った国旗を手にする。誰にでも与えられるべき可能性を打ち崩されて、心臓を打ち崩されて亡くなった。私の父がこのアメリカという国で尊厳を保つことができないのであれば、一体どうやってアメリカなる国家はその尊厳を保つことができようか。」
—『ブラック・ライヴズ・マター回想録』パトリース カーン カラーズ,  アーシャ バンデリ著
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収容先の名古屋出入国在留管理局(名古屋市)で3月に亡くなったスリランカ女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の葬儀が16日、名古屋市内で営まれた。妹2人ら遺族や関係者ら約100人が参列し、ウィシュマさんに最後の別れを告げた。ウィシュマさんの妹である次女のワユミさん(28)と三女のポールニマさん(26)はこの日午前、ウィシュマさんの遺体と初めて対面。変わり果てた姿に「姉でないようだ」と泣き崩れた。

名古屋出入国在留管理局(名古屋市)に収容されていたスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が死亡した問題を巡り、法務省は13日の衆院法務委員会理事懇談会で、中間報告を作成する前にウィシュマさんの診療記録を入手したものの、入管側が「医師の記録は事実ではない」と回答したため、診療記録と異なる内容の報告を作成したと説明した。
またしても、公文書改ざん。
診療記録には「(薬を)内服できないのであれば点滴、入院」という医師の指示が書かれていたにも関わらず、"中間報告"に「点滴や入院の指示がなされたこともなかった」と真逆の記載。法務省も認めた。
それでも入管法政府案の採決をするのですか?

英スコットランドのグラスゴーで、不法移民を取り締まろうとする内務省職員が二人の男性を住居から連行しようと車に乗車させたところを、100人以上の住民に取り囲まれ立往生。
住民は「彼らは隣人だ。私たちは移民や難民を歓迎する」「不法な人間なんていない」と抗議。
移民2人が乗せられたヴァンが身動きできないようにタイヤの間に横たわる人も出て、警察が出動して大騒ぎになったあげく、内務省と警察は「移民の連行はやめるので、みんな平和裏に帰宅してください。」と発表。
同じ地球上の話とは思えない。

全国の自殺者数 4月は1799人で前年比292人増 特に女性は37%増 
母一人子一人の友人の息子もその一人。仕事を失い、それを母親に言えず、毎日通勤する振りをしていた。母親がコロナで仕事を失ったとき「でも、あなたのお給料があるから家賃を払えるわ」と言った翌日、彼は死を選んだ。コロナに背中を押されて、死を選んでしまった
死を選ぶのは、困窮のどん底にいる人だけではない。メンタルの弱い人は、コロナで先の見通しの立たないこの社会に生きているだけで心底参ってしまう。それは、ほんとうは「自殺」ではなく「希望を与えてくれない無策な政治に殺された」ということだ。

よくきいてくれ
ひとりのやさしい娘をおもふやうになるそのとき
おまへに無数の影と光の像があらはれる
おまへはそれを音にするのだ
みんなが町で暮らしたり
一日あそんでゐるときに
おまへはひとりであの石原の草を刈る
そのさびしさでおまへは音をつくるのだ
多くの侮辱や窮乏の
それらを噛んで歌ふのだ
もしも楽器がなかったら
いゝかおまへはおれの弟子なのだ
ちからのかぎり
そらいっぱいの
光でできたパイプオルガンを弾くがい
宮澤賢治「告別」(春と修羅作品第384)より

光のない部屋で寂しく死んでいった女性に
手を添える
花をたむける
関係ないと下を向かず
多くの侮辱
あってはならない事実を
まっすぐにみる
ぼくの手には
怒りを言葉にできる言葉がある
おまえはそれを詩にするのだ。
おまえは震える声を語るのだ。
「点滴」を打ってほしいという願いさえかなわなかった
ウィシュマ
DVを受けたのに避難すら出来ず犯罪者と同等にあつかわれたウィシュマ
その寂しさ
その悔しさ
光のない部屋で死んだウィシュマを
飾らず真っ直ぐに語る

不法な人間なんていない



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