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業績悪化の予兆管理

■業態悪化の予兆管理

□業態悪化の兆候の捉え方

融資先の業態悪化の兆候を早い段階で察知できれば、債権保全の措置を講ずることができる。
融資先が業績不振に陥り、資金繰りが困難な場合に表れる兆候を、ヒト・モノ・カネの面から把握すると、次の通りである。

・ヒトの面   

経営者の変化   

経営者の不在が頻繁な場合、資金調達に奔走している可能性がある。また経営者ができそうもないことをいう場合は、業績不振を隠そうとする態度の表れの可能性あり。

会議の増加   

会議が増え、なかなか経営者や財務・経理担当者と面談できない場合は、経営上の問題に対する対策を検討している可能性あり。

従業員の変化   

従業員に活気がなく、職場の雰囲気も沈みがちになっている場合、業績の悪化に伴い労働条件の悪化や給料の遅配が発生している可能性あり。

・モノの面

在庫の増加   

売上が落ちているのに在庫が増えている場合は、売れない商品や返品物が不良在庫となっている可能性あり。

主要な取引先の変化   

主要販売先や主要仕入先が変化している場合は、原因の究明が必要となる。
品質悪化を原因に販売先から仕入れを中止された、または支払遅延を原因に仕入先から販売を中止された等の理由により変化している可能性あり。

風評   

同業者間の風評から倒産の可能性が察知されることもあり、情報収集に努め、風評の真偽を確認にする必要がある。

・カネの面

預金残高の減少   

資金繰りの悪化が考えられる。手形交換で持ち帰った手形・小切手を決済する際に、当座預金への入金待ちが増えた場合は要注意。

割引手形

振出人の変化   

手形の振出人が同一人へ集中する場合や、新規振出人の手形が増えた場合、融通手形の疑いあり。

※融通手形とは、商品の売買がないのに振り出される手形のことで、資金を融通することを目的とするもの。

売上債権の増加   

売上高と比較して売上債権(売掛金・受取手形等)の増加が著しい場合、売掛期間や手形期間の長期化による資金繰りの悪化や、不良債権の発生、融通手形の混入の可能性あり。

取引金融機関の変化   

主力、準主力金融機関の融資残高が減少、あるいは下位取引金融機関の融資残高が増加している場合は注意が必要。
融資先の内情に精通した主力金融機関が業績悪化を察知し貸出金を回収した結果、実情を把握していない下位取引金融機関へ融資残高がシフトした可能性あり。

【参考書籍】

「融資業務超入門第2版」https://a.r10.to/hkBgaq 

「融資業務180基礎知識第3版」https://a.r10.to/hDDin9 

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