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映画「PERFECT DAYS」の違和感(ネタバレあり)

 映画館で「PERFECT DAYS」を見た。ヴィム・ヴェンダース監督、役所広司主演。

・評判の良い作品のようだが、自分はそんなにはまらなかった。好きな人は好きなのだと思う。

・公衆トイレは結構汚されている場合もあると思うが、そう言う部分は描かれない。汚い部分を画面に映さないとしても、汚いトイレの清掃に苦労している描写もない。その点に違和感があった。

・ヴィム・ヴェンダースはドイツの映画監督だそうだ。この映画で描かれているのは、西洋人がイメージする日本・東京だと感じた。東洋好きの西洋人が憧れていそうな日本。主人公は盆栽を育てたり、木漏れ日の写真をフィルムカメラで撮ったり、古い銭湯に通ったり。「清貧」とか「侘び寂び」といった言葉が浮かぶ。実際日本で生活する日本人である私にはあまりリアルに感じなかった。

・主人公のキャラクターや生活にあまりリアリティがないと思った。「こんな人おらんやろ」みたいな。映画や小説の中だけの想像上の人物っぽい。実際にこういう生活をしている人(トイレ清掃をしている人)を取材して描いたわけではなさそうに見える。

・主人公は毎日家の前の自販機で缶コーヒーを買う。家でコーヒーを淹れるか、スーパーでまとめ買いをすれば良いのにと思っていたら、途中で主人公が豊かな家の生まれだとわかり、それであんまり経済観念がないのかなと思った。

・映像は綺麗で、音楽も良い。古い洋楽が多くて、私はあまり詳しくないが、良い音楽だなと思った。The House of the Rising Sunは知っていた。

・主人公は音楽や小説のセンスが良い教養のある人物として描かれている。幸田文とフォークナーの小説が出てきたのは覚えている。

・主人公は豊かな家の生まれで、今はトイレ清掃の仕事をしながら貧しそうな生活を送っている。豊かな生活を送る妹と姪が出てきて、住む世界が違う云々のセリフがあった。この映画全体の目線として、豊かで教養のある側から貧しい側を見ているように感じた。貧しい側に立った映画ではないような気がした。

・主人公が最後に運転しながら泣いていたのはなぜなのだろう。自分の人生に対する後悔?

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