7インチ盤専門店雑記597「エンヤ」
真夏にも涼を運ぶアイルランドのエンヤさんです。一定の年齢以上であれば「オリノコ・フロウ」を知らない人はいませんね。元クラナドというあたりから説き起こすのもありですが、それほどワールド・ミュージックやケルト、環境音楽的なものには強くないので、オーディオ趣味的な部分からちょっとだけ聴く人としてご紹介しておきます。
ヘッダー写真は2018年の再発アナログ盤ですが、ずっと売りボックスにおります。直ぐに売れてしまうかと思っていたのですが、売れませんね。人気がないとは思えないんですけど、アナログで聴きたいものではないんですかね?私個人は、こういう音や声を楽しむ音楽は絶対的にアナログ重視なんですけどね。
赤いドレスのジャケットのベスト盤を以前持っておりましたが、売れてしまいました。この盤が異様にいい音で鳴るもので、イベントでご紹介したりしておりました。まあ自分の好みではないとはいえ、お好きな方は多いと思います。たまにリクエストとか頂戴しておりました。…今リクエストをいただいたらどうしましょうかね。未開封盤の封を切るか…。
スピーカーからある程度以上のボリュームで鳴らすと、もの凄い空間的な広がりを見せます。…聴かせます。あれ、凄いな、というリアクションになってしまいます。おそらくこの盤もリマスタリングしてあるかどうかも分かりませんが、音はよさそうな気がします。元々マスターがよさそうです。
あのかけ過ぎかもと思える深いエコーと多重録音のヴォーカルが、教会音楽を想起させるのですが、おそらくそこを狙っているんですよね…。クラシックの重厚な鳴りというイメージもありますが、ポピュラー音楽にはあまりない録音ですね。
…ないと言い切っていいものか、近いものはあるかもしれませんけどね。ロバート・プラントがアリソン・クラウスと作った「Raising Sand」を初めて聴いた時に感じたものと同じような印象もあります。エコーの使い方が新しいと言うべきか、面白いと言うべきか、無音部分にエコーをかけるとでも言えばいいんですかね、無音部分でも空間的な広がりが感じられるので、アナログレコードで聴いた時も、妙に音が良いように感じます。
…映画「バグダッド・カフェ」のサントラに収録されていたジェヴェッタ・スティールの「コーリング・ユー」もお仲間ですかね。時代も近いし。こういう空間的な広がりや奥行きを感じさせるエコー感はいいですね。スピーカーから出して聴くと意外に分かりやすいこの音響効果も、ヘッドフォンだとどうなんでしょうね。ある程度は分かると思いますが、あの2つしかないスピーカーで表現できる音像の立体的なことに感動します。
ただ、時代の産物とも言えないところがまた面白くて、この後の90年代、例えば、リサ・ローブやシェリル・クロウ、アラニス・モリセット、カウボーイ・ジャンキーズのマーゴ・ティミンズといった声質が気になる女性シンガーの録音って、エコー感は抑え気味で、リアリティ追求というか、正反対の方向性の録音が多いですよね。
さて、どうでもいい話かも知れませんが、エンヤってこのニュー・エイジ的なケルト音楽をやっている一人の女性の名前ですが、そのプロデュースを務めるニッキー・ライアンと作詞を担当するローマ・ライアンのご夫婦を加えたプロジェクトの名前でもあるんですね。…何だか面白いです。シャーデーがシャーデー・アデュという女性を中心としたバンド名であるということを思い出させますね。…遠慮の塊ではないんでしょうけどね。
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