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短編小説 原爆上等!核ミサイル上等! なんぼでも撃ってこいや!! 糞餓鬼と理不尽核兵器戦。

今朝の新聞の一面を見て萬田氏は、呆れる様に呟いた。
「これは、やり過ぎだ」
一面には二本国のキ首相とコメ国梅大統領の会談後の記念写真がデカデカと載っていた。
小さな脚立に乗って頭二つ分高くなったキ首相が自分の弟を労わう様に固い表情の梅大統領の肩に手を回し頭を撫でて笑っているのだ。
それを見て
萬田氏は軍事バランスの変更とは本当に恐ろしいものだと思うのであった。


萬田氏は相変わらず定年退職後も、何もせずフリーターを決め込んでいる。三か月前の事だ。例によって図書館で居眠りをしていた時に真剣な表情をした糞餓鬼が相談があると現れたのだ。
糞餓鬼には弟がいるそうで、その弟は個人用排便の自動回収機の開発研究をしているのだが、その研究過程で物質の元となる最小単位の雄粒、雌粒、の2種類の最小粒を発見し、またこれが互いに引き合う特性を持ち、雄雌の比率の調整で核爆発も吸収する特性が解り、且つそれを電気エネルギーに変換できる事が解かった。それを元に核爆発回収装置を開発した。
しかしどのように、装置を活用したらよいか悩んでいるとの話であった。
萬田氏は、それは核爆発を吸収し電気に変えると言う事なのと訊き直した、       その通り、是非この装置を理不尽退治に使って欲しいんです。
それなら簡単だ、核の脅威に怯える二本国が最適だ、唯一の被爆国であり、隣には核大量保有国の、ナカ国、キタアサ国、つゆ国、海を渡ればコメ国がある、常に核に怯えて小さくなっている、可哀想な国だ。
萬田氏は分かった、G7のつながりがあるから政府に打診して見よう。
訊いてみてくれ、これが回収装置だ。
と言って糞餓鬼は野球グローブの様な物を差し出した。
え、こんなに小さいの、野球のグローブの様だ。
大型もあるが能力は変わらない、これを物干しの端にでも上を向けて架けておけばいいそうだ、そうそう、裏側に単二の様な蓄電池が入っているから、もし核攻撃で蓄電したら、電力会社へ持って行ってくれ1000年電気代はただになる。おまけにこの装置はバナナの房の様に被り帽子代わりにもなる。
萬田氏は早速二本国政府にこの案件を持ち込んだ、二本国政府の対応は早かった、即、実験室レベルの実証試験を行い有効である事を確かめると、糞餓鬼の弟に全国で使うために大量の回収装置を発注した。
驚いた事に、わずか一カ月で全国津々浦々に、核回収グローブは普及した。

二本国政府の外交は一変した、外務省はキタアサ国のミサイル実験に対して、「いい加減、実験じゃなく、本物打ち込んでこいや、」の公式書簡にカミソリを入れて送ったり。
ナカ国のスパイ事件では、二本国のスポークスマンが何時もの、遺憾、遺憾の表現を改め、「ナカ国はスパイなんぞ、小細工しないで、堂々と核ミサイル打ち込んでこい」と挑発した。
二本国のキ首相は、国連総会で演説し核兵器廃絶に文句があるなら核保有国は二本国に核をドンドン打ち込んで見ろと挑発演説を行った。
コメ国、つゆ国に対しても、強気で挑発的、発言を繰り返した。
キ首相は外遊先の各国で、相手国を罵り悪態をつき馬鹿にした。
あっという間に、二本国は、諸外国から横暴で口汚い、礼儀知らずな国と陰口をたたかれた。
続く。







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