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短編小説LGBT法への対処法を糞餓鬼に訊いてみた。

LGBT法が施行され新聞の三面記事とワイドショーは空前の盛り上がりを示し始めていた。例えば女湯に侵入した自称女性の男性器を持つ人物に対して、理解が無く虐げられた人々の想いを受け止めて、今までの既成概念を捨てて、暖かく接するようにしなければならない、時代は大きく変わったのです、古い頭を捨てましょう。と言う論調をマスゴミ各社はとった。
女性限定空間での女性への性被害は頻発したが、ほとんどは報道されることは無く、報道されても、結論としてLGBT法の無理解が招いた悲劇と話をすり替えた。予測された事ではあったが、強姦致死の事件が出るようになって、やっと批判は出たが、裁判での予測で被害者への補償の減額や、今までより減刑になる、あるいは無罪への言及などがあり、あやふやな報道が目立ちだした。しかしネットでは政府、政権与党への批判は、24時間止むことは無かった。

図書館で、萬田氏は本を広げ差し込むやわらかい日差しに、つい居眠り、をしてしまった。糞餓鬼が現れた、萬田氏は糞餓鬼のおかげで二本国の核への自縛がとれ、言いたい事を言える高飛車な国になった事を報告し礼を言った後で言った。
ところで相談なのだが、どうやらキ首相は差別のない、究極の平等社会を作ろうとしている様なのだ、その第一弾としてLGBT法を作った。今二本国は大混乱だ。どうしたらいいと思うと糞餓鬼に問いかけた。
暫く考えた糞餓鬼は、退陣してもらうのが一番だが、その前に如何に平等社会が危険か、本人と、議員、国民にも知ってもらう必要があると思うと言った。
具体的にどうすれば良いのだ。
糞餓鬼は方策を話し出した。
キ首相の夢の中に入って暗示をかけて誘導する。一カ月もあれば、伝統を取り戻した、寛容な、世界一モラル高い二本国に戻して見せる。
頼んだぞ、糞餓鬼。そう言うと萬田氏は心地よい居眠りに戻って行った。
その晩、糞餓鬼はキ首相の夢に忍び込み、あらゆる物質の根源は雄粒子と雌粒子から成り立っている。と言う暗示をかけた。
翌日キ首相は、あらゆる物質の根源は雄粒子と雌粒子から成り立っている。と言う閣議決定を行った。
その夜またもキ首相の夢の中に侵入し、全ての差別の根源は勝ち負けから来ている、勝ち負け禁止法を作るのだ。これをやれば世界のフェミニストのリーダーになれる、二本国は世界最先端のグローバル国家に成れるぞ。
と暗示をかけたのです。
二週間程で、勝ち負け禁止法は閣法として国会で承認され成立しました。
大臣ポストに目が眩んだバカ議員達からは反対意見は、出ませんでした。
この勝ち負け禁止法の成立によって、二本国はフリーズしました、何しろ勝ち負けは禁止ですから、野球、相撲、ボクシング、あらゆるスポーツ、が禁止されました。例外的に残ったのは幼稚園のかけっこはゴール順に関わらず全員が金メダルをもらうため、対象外とされました。裁判の禁止、和解のみ可能。多数決の禁止。営業成績のグラフ禁止。パチンコ、競馬他ギャンブル全般。ギネス記録禁止。芥川賞、直木賞、カラオケ大会他賞獲りレース。入学試験、偏差値禁止、じゃんけん禁止。つまり二本国の社会活動は、ほぼ止まり機能不全に陥ったのです。
市民のリコール運動も出来ず。議員も動けない。この事態にキ首相は、物質の根源は雄雌の粒子から成ると言う閣議決定を根拠として、LGPT法の廃止と社会システムに有害として、完全平等を目指した勝ち負け禁止法を廃止し、責任を取り自らも辞職する事を表明したのです。
またもや図書館で居眠りしていた萬田氏と、糞餓鬼の活躍により人々は救われたのでした。
おわり。





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