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短編小説 耳栓 ① (486文字)

私が三鷹の格安アパートを借りたのは23歳の時でした。
地方の美大を出て、やっと東京の小さな下請け広告会社に就職しました。
借りた部屋は二階の角部屋で、2DKリフォーム済みで、古いアパートの外見よりはずっと小綺麗で、新人OLの一人暮らしには十分、そのうえ安い部屋代でとても気に入っていました。
引っ越しの当日、手違いで荷物が翌日となってしまい仕方なく、その夜は布団もなく、カーテンもない、がらんとした部屋で持参のスーツケース一つで、一夜を明かす事に成りました。
私は賑やかな方が好きで、テレビもパソコンもなく、しーんとした夜は苦手です。当然スマホでゲームをしたり、SNSを見たりしてすごしていました。
音は最少にしていました。
夜八時頃だったと思います。
ドンドンドン
ドアを強く叩く音がしました、まだ隣室などに挨拶をしていなかったので、不安でしたが、
「はーい、どなたですか」
ドアを開けると、右手に包丁を持ち刃先を私に向けた、中年の男が立っていました。
「うるせーんだよ、うるさくて頭が変になる、静かにしろ、殺すぞ」
男が怒鳴りました。
私は・・・・・・・
次回へ











音は自分に聴こえる程度で、でした。








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