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集団での出し物が鬼門(6)

異質な存在として見られることにストレスはある

ノイズならまったく本人は痛くも痒くもないかというと、そうではない。人と違う事によって生じるストレスは大きい。長男は周囲が思っている以上に不安を抱えているはずだと、心理士からは言われている。

キャンプファイヤー1つとっても、大多数の子は「参加する」を選択する。長男さえ参加していれば、異質な者として見られることもなく、自尊心が下がるようなことにもならないだろう。

一方で、異質であっても、それが問題視されることなく、周囲が理解しようと努めたり、否定しない方法で対応できれば、長男もここまで自尊心が下がらなくて済むのだろうとも思う。

やりようはある

長男は「何のためにやるのか」がしっかり理解できていれば行動を変えられるし、事が起きた後でも、説明を受けて理解できれば、「さっきはごめんなさい」と自分の至らなさを反省して謝罪することもできる。

幸運なことに、長男は人が好きだ。少し時間は必要だが、人の話はちゃんと目を見て、聞く耳を持って聞く。だから、やはりやりようはある。

キャンプファイヤー、ダンス、レクについて仮説を立てて調べる

今回は、もう終わったことではあったが、長男、夫、私の3人でキャンプやダンスの目的について仮説を立てて、少しだけ調べてみた。

キャンプファイヤーは海外から入ってきたはず、ボーイスカウトでよくやっているイメージだ、キリスト教が関係しているのでは、との意見のあと、日本全国に広がったのは戦後と伝えると、すぐにGHQが挙がった。教育目的があると伝えて以下のような会話をした。

「すでに協調性なら十分備わっている日本人に、なぜさらに協調性?」「違うよ、アメリカはリーダーシップでしょ、そのためにはチームワークが必要って話じゃない?アメリカ人にとっては日本の協調性は理解しづらいし、自分たちが知っている形を広めたいと思うでしょ」「しかし、よくそんなに簡単に教育現場に浸透したよね」「簡単でしょ、戦時中はお国のためなら・・で洗脳されるような国民性だったわけで」

GHQは日本軍の武装解除のみならず、軍国主義的・超国家主義的教育を排除するなど、民主化を行うに当たり、教育改革に積極的に取り組んだのである。これは、日本を民主化するということだけが目的ではなく、国民の関心を戦争へと向けさせないことも狙ったと考える。 GHQが武装解除では満足しなかったことは、教育改革を通して、国民の意識を変える必要性を感じたからだろう。

占領下における教育改革とレクリ工ーションの関係
(著者:加藤幸真 、津 村 博 )
https://jslrs.jp/journal/pdf/69-45.pdf

…戦前の青年団を軍国主義、超国家主義の温床として批判した際、その地域網羅的な団体の性格をも否定し、それにかわるインタレストグループを基本とした欧米型の団体が奨励、普及されることになった。その具体的団体として、国際的な活動をすすめるガールスカウト、ボーイスカウト、YMCA、YWCAが改革すべき日本の青年団体のモデルとして注目されていくことになった。

(中略)

民主的な団体運営のあり方ともにグループ・ワークの普及を中心とした小集団形態での教育活動がひろく紹介されレクリエーション、フォークダンス、ゲームを含めた新しい活動形態がその後にひろく戦後社会教育に浸透して行く契機となった。従来の講義形態中心ではなく、グループ単位の作業、机を囲む形で話し合い、屋外でのグループ実践の具体的なかたちは、戦前の教化運動が否定されて新しい教育形態を模索していた当時の多くの教育関係者に新鮮に受け止められた。さらに、ここで紹介されたグループワークは戦後社会教育のグループ重視、具体的な学習方法である共同学習にも発展していく出発点ともなった。ここに参加しているメンバーは、その後、各地域と団体の指導者として多くの社会教育関係者に影響を与えることになった。その意味からも、戦後の青年教育のリーダーとなって重要な役割を果たした人々である。

第11章 戦後ガールスカウトの発足と女子補導団 (PDF)

小学校を卒業した後のことを見据えて

長男には、ダンスやレクの目的はグループ・ワークだし、やっぱりリーダーシップを発揮する上で欠かせない要素としての側面が元々は強かったのだと思うよと伝えた。

中学に入っても運動会や合宿はあるだろう。小学校でやることと、形は同じだ。

「その時に、もっと生徒が主体的に意見を出し合って進めたり、リーダーの元でみんなで一緒にプロジェクトを成功させようというものだと参加できそうか?生徒側の熱量ももっと高いと思うよ?」

「あんたバスケやってるよね。あれだってチームでやるスポーツで、コーチがいて、キャプテンがいて、みんながまとまってないと成功しないでしょ。あんた声かけあってできてるわけじゃない?同じだよ。」

バスケは単純に楽しいからやるとか、コーチが厳しいからというのもあるだろう。それでも、長男には一切の問題行動が見られない。言われたことをきんと守り、気遣いもし、チーム全体のことを考えた行動ができる。

弟が体験に来た日、試合で弟がボールを手にした際、大きい子たちが弟に向かって行くのを見て、「空気読め~!」と声を掛けたそうだ。見ていた大人が微笑ましいと笑っていたそうだ。

学習指導要領とダンス

なお、長男の学校がキャンプで何を踊ったかは把握していないが、フォークダンスは学習指導要領に入っていて、以下のような狙いがある。

フォークダンス 下記リンクより

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/sports/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/07/06/1308040_15.pdf

以下、中学生のダンス必須化に関連したものだ。

ダンスが必修化になった理由や狙い

文部科学省によると、ダンスの種類は「創作」「フォーク」「現代的なリズム」の三つに分類されます。

フォークダンス
どの国においても、フォークダンスは「みんなで踊る」ということが重要視されているものが多いです。そのため、授業を進めていくうちに、生徒たちの間にも自然と他者と協力したり交流したりする姿が見られるようになります。全体的に難しい振り付けがなく、運動神経やダンス経験の有無に関係なく楽しめるのも魅力の一つです。他のものに比べるとグループ間、あるいはグループ内で仕上がりに差が出ることが少ないため、円滑なコミュニケーションができ、生徒たちにも自然と連帯感を感じてもらうことができるでしょう。

現代的なリズムのダンス

現代的なリズムのダンスとは、いわゆるストリートやヒップホップなどのことで、全身を使ってリズム感を養い、全体的な運動能力を向上させることが目的とされています。
上記三つの中で最も人気が高く、多くの学校が「現代的なリズムのダンス」を授業として実施しています。
生徒たちの中で流行っている音楽を用いて、実際にアイドルやダンサーなどと同じ振り付けで踊れるように練習していくため、生徒たちの積極性も向上することが期待できます。
しかし一方で、ダンスの進み具合やグループとしての仕上がりに大きな差が出てしまうのがデメリットでもあります。
そこから冷やかしやいじめなどのトラブルに発展するケースもある
ため、単純に「生徒たちに人気があるから」という理由ではなく、目的を持って授業が進められていくことが理想です。
そもそも「現代的なリズムのダンス」も、表現力やコミュニケーション能力を向上させることが本来の目的であり、かっこよく踊ることがゴールではありません。いかに生徒たちの関心が高い楽曲を選び、全身を使ったリズム感を養うことができるか、一体感や爽快感を味わうことができるか、という点に重きを置いて授業を進めることが重要なのです。

リディアダンスアカデミー

文科省のHPより具体的な記載だったので引用させていただいた。これが実際に文科省の狙いだとすると、やはり長男にとっては、今の標準教育は窮屈かもしれないと思った。

(7)につづく