記事一覧
「四つ巴奇譚」あらすじ
斎藤遊麻が望んでいたのは、普通の生活だった。
ある日、具合が悪そうな男を助けようとした遊麻は、天神様が君臨する人間と天狗と狐と鬼の、四つ巴の世界に引きずり込まれる。
助けてくれた遊郭《翠天樓》で、天神様によって世界に引きずり込まれた者は《稀客》と呼ばれ、《天与》という力を与えられる、ということを知る。
遊麻と同じ稀客の少年、凪によって四つ巴の世界の均衡は崩れかけていた。
《冬》の天与を持っ
「四つ巴奇譚」第三話
歳も違わない。
同じ稀客なのに狐より、鬼より、ずっと怖い。本能が、彼に気を許すな、警戒しろと訴えてくる。
「嘉一、その場で待機と皆に伝えてきておくれ。――ようこそおいでくださいました、と言いたいところではありますが、大門の開く時間ではございません。お引き取りを」
「客になりにきたわけじゃない。遊麻君に挨拶に来たんだよ。それと勧誘」
「どうして、名前……」
「僕は顔が広いんだ。でさ、ここの雑用
「四つ巴奇譚」第ニ話
芳しい香りが鼻をくすぐる。
遊麻は一瞬で高級旅館の玄関のような場所に移動していた。
(……どういうこと?)
たぶん、木札のせいだろう、ということしか分からない。
が、きっとこれもここではありなのだろう。遊麻の前に立つ二人の男性は、突然人が現れても驚いていない。
「いらっしゃいませ」
笑顔の中にわずかな警戒を含ませながらも、頭を下げた。
丸顔の男性は三十代後半ほど、目元に黒子があ
「四つ巴奇譚」第一話
ついさっき、時間にすれば二、三分ほど前。
斎藤遊麻は二〇二三年七月の東京都内にある、人気のない住宅街にいた、はずだった。
「ここ……どこ?」
目の前には、活気溢れる見知らぬ街並みが広がっている。
チンチンチン、と軽やかな音を立てて、鶯色とクリーム色の路面電車が走っていく。
車やバスも、遊麻が知るものより小さく、いわるゆクラッシックカーと呼ばれるものばかりだ。さらに、馬車が走っている。
「聖女を召喚しろと言われましても」企画書
キャッチコピー:
この世界の《正しい運命》から抜け出すために、私達は抗う道を選ぶ
あらすじ:
神託により【救国の聖女】を召喚しなければならなくなった、エシャトリス国唯一の魔術師エティカ。
古い魔術書を調べていたが、なぜか悪魔スウォードを召喚してしまう。
悪魔の召喚は大罪。エティカは他国から招かれている魔術師キリヤとともに、危機を免れようと画策する。
実はエティカは悪魔と聖女を召喚し、世界