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創作:ドルフィンキック

 シャボン玉の群れに魅せられて、「ドルフィンキックでしびれてみたいな」とつぶやきます。
 ダルメシアンの鼻歌を文鳥がついばみ、ビリヤードのような現象が拡がります。引っ張っては放し。引っ張っては放し。色が色に作用し、反作用が生じています。さながら万華鏡です。

 落石注意の思い出をいつものように偏微分します。そうして出来た幾何学模様に遅効性のトローチを差し向け、やさしさにつつまれたなら、肉体を脱ぎます。

 丸みを帯びたシナプスは水蒸気爆発を起こします。水面下では安寧の太鼓が打ち鳴らされ、その一音一音はファインチップに刻まれたセーラー服の残り香に着火します。
 売掛金がかさむことに目を閉じて、テクネチウムが奏でる原子レベルの4つ打ちに興じます。
 【誰かのために】を巡る自分自身への参加は、やがて概念に降伏します。物体は歴史的敗北の責任をとり、ドルフィンキックでいよいよ痺れるのです。
 私は物体ではなく、行為と行為の間でしりぞけられつつ引き合う媒体です。これは【あるところのものではなく、あらぬところのもの】とは似て非なるものです。

 そう書き殴った彼は、背伸びをやめてかかとを地面に下ろした。

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