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散文の仲間

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ジブラルタル峻が綴る、理性や科学の外側のテクスト。
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#詩的散文

「詩(詩)」(総合詩)

「詩(詩)」(総合詩)

電離した言葉の花束に、糸電話の記憶を振りかけます。

そうして出来た【長さ】に引き寄せられてエゾモモンガとワオキツネザルが集まってきます。

かわいいね。かわいいな。

そういった人類の音声も含んだ環境の音楽は、常に近似値でしか記述できません。仕方のないことですが、【短さ】の方程式の援用でしのぎます。

交換ではなく譲渡であるような、つまり、愛というよりも恋であるような取り交わしの中で、非線形な系

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小説:半呼吸体とは(421文字)

小説:半呼吸体とは(421文字)

 常識を片目で見る。あるいはできる限り遠くに置く。あいつはそういうことをやっているのだろう。

 スクランブル交差点を渡り切った呼吸体は、イヤフォンのボリュームを上げた。
 正解は誰かのルールにおいての正解であり、絶対的ではないのよ、と三叉路を通り過ぎたペンペン草が喋る。
 ルートの記号を7個集めて、オオトカゲに願う。するとどうだろう。旧邸の鍵が見つかり、みりんで味付けされた縦横無尽体が振る舞われ

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駄菓子の真実(418文字)

駄菓子の真実(418文字)

 隠れマルコフ作戦を偏微分する。額縁の友達は「それは妥協じゃなくて挑戦だよ」と言う。そのセリフを第五象限にプロットしたまま暮らす。
 
 時間と握手をする龍が、予定調和にかじりつき、真夜中色のアジサイが咲き続けることになる。
 感情という言葉をナノテクノロジーで解体し、まだ問われていない素子に代入する。

 駄菓子の真実を過冷却し、動的粘弾性を計測する。誰も認めようとしないのは承知しているが、パレ

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小説:アセロラ(573文字)

小説:アセロラ(573文字)

 アセロラによって引き起こされた揚げパン戦役は、一人の犠牲者も出さずに終焉を迎えた。量子次元に封じ込めたカルテの声が6世紀的な意味を持って理科室を優しく包んだのであった。ピスタチオカーブを曲がりきったハイエナは、バックオフィスで独り涙する。ポートボールで最多得点の天文学者は持ち前のアルカイックスマイルで観客を湧かせた。

 表面温度を計測したアヴィケンナの忍者ムラサメは細い川を下りきったところでブ

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