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小説:アセロラ(573文字)

 アセロラによって引き起こされた揚げパン戦役は、一人の犠牲者も出さずに終焉を迎えた。量子次元に封じ込めたカルテの声が6世紀的な意味を持って理科室を優しく包んだのであった。ピスタチオカーブを曲がりきったハイエナは、バックオフィスで独り涙する。ポートボールで最多得点の天文学者は持ち前のアルカイックスマイルで観客を湧かせた。

 表面温度を計測したアヴィケンナの忍者ムラサメは細い川を下りきったところでブースト行為に手を染めた。上界には天ぷら粉でまぶされた積乱雲が、下界にはオットセイの自動ドアが待ち構えていた。オセロの引用数をケッセル番号で割ると絶対領域のペンネが少しはねることが知られている。卑弥呼から伊予にメッセージが伝わった。

 アンダーコンストラティヴなカップルは、二人とも肘をついて、ミドルテンポで語らい、少し笑い、笑い合う。単音で見切り発車する情念は今、かけぶとんのかけらを集めるのだ。空の手足で働いたことのあるクリーチャーの戯言を昔気質の親方に聞かせて、濃いダシをとる。液系では、振動数の作用により、黒い猫が集まる。水文学者は下を向きながら、死の生きる声を聞いている。生活音をサンプリングして、論文を書き上げる。4品から9品というレンジでチャンプルーする。ビートニックな偏西風が春夏秋冬を駆け巡る。

 そう書き記した彼は、地下鉄を乗り換えた。

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