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隔離生活日記@モントットーネ ③ 42日目?

Quarantena、クワランテーナ、辞書を引けば「検疫期間」と出てくるこの日々が、僕の暮らすモントットーネ村でも始まっていったい何日になるのだろう(写真は15年前の大雪の時、今は亡き義父とその友人たち)。

「検疫期間」という訳語は合っているのだろうけど、なんとなくしっくり来ない。検疫という字面からは「伝染病の有無をチェックする」という意味合いがどうしても強く聞こえてしまう(伝統的に正しい語義かどうかより、自分の耳にどう響くか、というのが僕の場合、訳語選定の基準のひとつとなっています)。

「外出制限・禁止令施行期間」「自宅隔離期間」などと呼ぶのがよいかもしれない。要するに不要不急の外出が禁じられ、基本的に家に閉じこもって過ごすべき期間だ。

イタリア全国で3月4日の首相令(リンク先はローマ日本大使館による抄訳PDF)により、この自宅隔離の日々が3月5日始まってからおそらく今日、4月15日現在で42日目にはなるのではないか。思ったより早かった、そう思えるのはここ3週間ほど、noteでも紹介したジョルダーノの『コロナの時代の僕ら』の翻訳に夢中になっていたからに違いない(そう意味ではこれからが少し不安)。

怒濤の翻訳も終わり、少し落ちついたので、ここに日記のようなものを書いていこうかと思う。やはり、これは一生に二度とはない特別な時間ではないか、そんな予感もするし、パオロ君の今回の本を何度となく読み返すうちに、今を大切にしないともったいない、という気分が高まってきたので。

まず僕が住んでいるモントットーネ村について紹介してみたい。

場所は中部イタリア、マルケ州の南の内陸の小村だ。海まで20分、山まで40分。最初に村でB&Bを経営するオランダの友人がドローンで撮影した空撮動画をどうぞ。

人口は1000人ほど、老人ばかりの典型的な過疎の村だけど、その割には大きなレストラン&バールが1軒(郊外には滞在型の農家風レストラン、アグリツーリズモも結構ある)、ピザ屋&バールが1軒、パン屋1軒、婦人服屋1軒、新聞&煙草&園芸品店1軒、全国チェーンのスーパー1軒、精肉店1軒があり、金曜日の夜だけ営業している謎のパブまである。そうだ、ガソリンスタンドもあれば、そこに自動車修理工もいるし、地方では警察に相当する憲兵隊(カラビニエーリ)だって駐屯している。こうして書いてみると、けっこう充実してるな。

学校も幼稚園・小学校・中学校まであるし、かかりつけ医の常駐する診療所(健康保険で無料で診てもらえる)もあれば、歯医者(こちらは保険対象外で高い)だって週に3日は(半日だけ)やってくる。レストランLa Broccaピザ屋さんのLa Rositaは遠くの町からもお客さんがやってくるし、村人の誕生パーティーや宴会の会場としても人気だ。

でもやっぱり過疎は深刻で、小4の長女のクラスは確か6人くらいしか生徒がおらず、それだって近隣の村からかき集めてなんとかその人数という状態。中学校なんてぼちぼち閉校の噂も流れている。本当、困るのだけど。 

と、まあ、このくらいの長さで週に1度以上は更新を目指してみようかと思ってます。原稿用紙3〜4枚なら続くんじゃないかな。今日は本当は、4日ぶりに村に買い物に出かけて、記事のネタにしようと写真も少し撮ってきたんですが(普段はこんな写真を撮っています)、紙面も尽きましたので(嘘ですが)、買い物の話はまた次回ということで。

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4/24発刊予定の『コロナの日々の僕ら』はこちらのリンクからお買い求めいただきますと、貧しい翻訳者の懐にエスプレッソコーヒーにして1/2〜1杯分相当のお小遣いが転がりこむようです(まだ未経験ですが)。

同じパオロ・ジョルダーノの、やはり僕が訳しましたベストセラー小説『素数たちの孤独』はこちらです。この作品についてはまた何か書いてみようかな。イタリア語で読んで、文体に惹かれたのは初めての体験だったかも。

ここ3年ばかりはこちらの大作と取り組んできました。『ナポリの物語』4部作の第1巻『リラとわたし』です。第4巻『失われた女の子』は、2020年度日本翻訳大賞の最終選考に残っています。頑張れ。



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