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夢福郎
2015年12月15日 22:50
「雨だ」 そう言って彼が頭上を仰ぐと、淡いねずみ色をした雲間から、サアーッと雨粒が降ってきた。「なにぼんやりしてるんだよ、行くぞ」 彼は少し焦るように、制服の上着を脱ぎ、それを私の頭にかぶせた。あ、日なたの匂い―――気づいたとたん、ふいに自分の意志とは関係なしに顔が熱くなった。サッと下をむく私の手首を、いきなり、彼が強くつかんだ。そこから熱が直に伝わってきて、胸がドンと脈打った。「