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#2 そして、地球の向こう側でヨガと出会った

モロッコで私の人生を変えた8人のドイツ人の女の子と出会った話。

この手紙は、2022年9月3日日に母国語である中国語で書き、このあと日本語に翻訳したものです。

サンサンへ

本当にお久しぶり!

ここ数か月は、プロジェクトや展示会、引っ越しなどで大忙しく、精神的な健康状態も非常に悪化していた。自分自身にさらにプレッシャーをかけることは避けたいと思い、手紙を書くのを控えていた。あなたは寂しく感じていたかな?

この手紙で、私がモロッコでヨガと出会い、愛とつながりを初めて感じた物語をしよう。

2022年8月末、私は一人でモロッコに向かい、カサブランカから5時間の列車に乗ってマラケシュに到着し、とあるリトリートセンターで1か月間の滞在を始めた。

私がヨガ先生のアネッタさんと出会ったのは、到着して3日目だった。彼女はドイツから7人の女性を連れて、1週間のヨガリトリートを行うためにここに来ていた。


窓際に立つアネッタ

アネッタの美しさは内から外へと輝きを放っていた。夜のシャラで蝋燭を灯し、ゆっくりと寝る前のヨガの練習を行ったり、裸足で庭園を散歩しながら地球の温度を感じたり、新鮮な空気に浸りながら腕を広げて天空を抱きしめたり、私が喜んでいると感じたときには、私の両手を握りしめて微笑んでくれたりした。

たくさん表面の工夫だけする女の子を見てきた私は、最初彼女がただこういうブランディングしているだけだと、ちょっとリアルさを感じられなかった。

しかし、ずっとそばにいると、アネッタの美しさが表だけではなく、彼女の内面から自然に溢れ出していることがわかる。彼女は自分自身を愛し続け、その愛と感情が彼女の身を守るための基盤となっている。彼女は自分の意志や初心に反することを優しく遮り、自分の信念に従っている。また、彼女にはとても子供っぽい一面もある。ガーデンで熟したいちじくを見つけたときは嬉しそうに摘んで私たちとシェアし、登山中に濡れた泥があったときは楽しそうに顔に塗りつけた。

アネッタから初めてヨガの美しさを感じた。彼女の指導の下、ヨガが柔軟性や身体の限界を超えるための運動ではなく、自分自身を大切にし、心と身体の感覚に取り戻すルーティーンであることを知った。


ヨガシャラにて

アトラス山脈の標高3000メートルの山小屋で、アネッタは私たちに彼女の過去を語った。自信が全くなく、他人に合わせ自分自身を押さえ込んでいた。しかし、自分の本当に好きなことを見つけ、愛し、自然に魅力を放ったとき、真の友人とチャンスが彼女の身辺に現れたのだという。

彼女は自分のずっと大切にしている石を私に渡し、「なんか語りたいことがある?」と尋ねた。急なことで、一瞬狼狽えたが、その石を見つめながら、なぜか東京での生活でずっと抱えていたプレッシャーを辿々しく言えるようになった。そして、なぜか、止まらなくなるほど泣き出した。

私は言った。「笑顔で人に接することに慣れすぎて、嬉しさ以外の感情を人に見せられなくなっていた。でも、みんなが初対面から私を抱きしめてくれて、東京にいる何年間もずっと感じられなかった温もりを感じた。本当にありがとう」と。

そして、頭を上げて周りを見渡すと、女の子たちの目には涙が浮かんでいた。彼女たちは私を見つめ、手に手を重ねてくれて、私の笑顔がとても可愛いと言って、手で隠すのが勿体無いと言ってくれた。もっと自信になってもいいと言ってくれた。一人で勇敢にモロッコに来て、私たちが出会うチャンスを作ってくれて、ありがとうと教えてくれた。

そして、彼女たちは一人ずつ私を強く抱きしめた。

その日の夕方、ジープの荷物棚に座り、アトラス山脈の強い風に押されて坂道を飛んでいくとき、私は過去の自分を3000メートルの頂上に葬った。

新しい自分が生まれたのだった。


アトラス山脈にて


8月31日、私は女の子たちと深い話を交わした。

自己成長は実は進歩論が生み出した幻想であり、今のままを満足させてくれない罠だと。大切なのはありのまま自分を受け入れ、愛すること。

また、どのようにしたら偽りの自信から築かれた仮面を脱ぎ捨てられるのかについて。偽りの自信が本当の自分と真の友人を遠ざけてしまう。自分を許し、仮面を脱ぎ捨てることで、他者とより深い繋がりを作れる。これにより、より大きな自信、幸せ、充実感を得られる。

私たちは夜のシャラで心のままに踊り、深夜の冷たいプールで裸足で泳ぎ、思う存分笑った。私の半身は温かい床を感じ、半身が水の潤いを感じた。

満遍の星空が目の前に映った。私が地球の一部となったと感じた。


9月3日、アネッタのヨガリトリートリードの責任を終え、表情や仕草がとても柔らかくなった。

彼女はキッチンの小さな椅子に座って、嬉しそうに伝えた。「リードの責任感で、ちょっと今まで配慮できず暖かく接せなかったけど、あなたは私を尊重し、十分に配慮してくれた。本当に感謝しているわ。」

心が昂った。HSP (Highly Sensitive Person) の私が他人を感じ取るのが得意だとはいつも自覚していたけど、初めて誰かが私の気配りを察し、感謝の気持ちを伝えてくれた。

その瞬間、私の心が完全にアネッタに開いた。「最初は自分自身が傷つくことを恐れて、あなたをすべて信じられなかった。でも、その後、自分が間違ったと気づいた。ずっとずっと申し訳なく思っている。」

アネッタは大笑いをあげた。「サンサンがあまりにもずっと笑顔だったから、マスコットみたいなキャラだと思い込み、最初は心を開くことができなかった。でも、あなたと対話するうちに、言葉に知的な輝きが溢れていることを感じた。特に、難しい議論で、あなたの表情からは普段とは全く違う厳粛さと真剣さが漂っていて、本当に魅力的だった。」

「あなたの笑顔がとても可愛いけど、いつも笑顔でいる必要はないのよ。私はモデルとして、いつも笑顔でいることがどれだけ疲れるか知っているわ。」(そこで私たちは同時に顔の筋肉を揉んで笑った)

はあ、なぜアネッタはいつも私が今一番聞きたかった言葉を教えてくれるのだろう。

口元が下がり気味な私が、幼い頃から笑顔でないと人々に嫌な印象を与えると恐れていたため、話すときはいつも無理やり笑顔でいた。しかし、多くの大人数がいる場面で、毎回毎回疲れてしまう。

でも、笑顔でない私でも、美しく自信にあふれた表情でいられることを、初めて誰かに教えてもらった。


私とAnuthida


モロッコで、私はこれまで受けたことのない鮮烈な感情を得られた。今までの仮面被った自分を脱ぎ捨て、本当の自分を迎える時が来たことをはっきりと意識した。

私は日本に戻り、自分の学業を続けながら、ヨガの先生になるための勉強をするだろう。アネッタは世界中でモデルの仕事をしながら、引き続きヨガリトリートの活動を行っている。この世界に彼女のヨガが必要だ。

Anetta’s personal website

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ベルベル原住民の伝統的家屋の前

未来のサンサンは、今頃どうなっていくのだろうか。自分のことを信じているのか。また無理しているのか。

返信を楽しみにしている。

サンサン

(写真撮影:サンサン)


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