緻密な論理的分析から溢れ出すヒューマニズム的な温もり(前編)ーテッド・チャンの17個の小説を読んで
社会と人間の本質を見透かした方々は、何を考え、どういう感情を抱いて日々を過ごしているのだろう。失望か、それとも未来への更なる期待か。それはきっと人それぞれで、二元的に楽観主義か悲観主義だと評価できないことだと思う。テッド・チャンの17個の小説を2回読んだ私が感じたのは、ああ、なんという深く揺るぎのない愛情の塊なんだろうということだった。
テッド・チャンはSF界隈で名だたる特別な方で、1990年『バビロンの塔』をもってデビューして以来、17個の小説しか書いてなかったが、どれも